リアル店舗のキャッシュレス化を
どう進めるか
――キャッシュレス化が企業にもたらすメリットとは何でしょうか。
榮永 主には、「顧客の囲い込み効果」と「データ取得」の2つがあります。そのときに自社のお客様に自社の決済機能を使ってもらうというのは、ほぼすべての会社が達成していると思います。問題になってくるのがラストワンマイル、つまり他社のリアル店舗のお客様の購買行動をいかにつかむかということ。そこにとても苦戦しているのが今の日本の実態です。
例えば「○○電器カード」はその店ではお得に使えますが、他店ではメリットが薄いという意味で使えないため、そのカードは「○○電器」でしか使われない、結果的には、そのお客様が他でどんな購買行動をしているのかが見えないわけです。
日本には現在約200万店くらい、非現金決済のできる店があると言われています。その自社以外の残り199万9999店の決済データをいかに使えるようにするかが、今後も自社の決済サービスが生き残れるかどうかの重要なポイントになるでしょう。
お店をリアルとECで見ると、そこも大きく違っていて、ECは圧倒的にクレジットカードの方が有利です。カードが使えないと売り上げが伸びないという恐怖感があるので、クレジットカード利用が必然といえる店が増えていきます。
一方リアル店舗の場合は、クレジットカードが使えないことによる逸失売り上げはないと思われているので、なぜわざわざ手数料を払ってまでカードを導入しなければならないのか、現金払いのお客様にカードを勧める効用が見えないため、なかなかカードが普及しません。ですから、リアルのお店にどう広げていくか+カード利用率を上げるかが、すごく重要になります。
一時期、リアルEC決済、またはリアルバーチャル決済といって、コンビニの中でもケータイでEC決済して商品を受け取るといったスキームも検討されていました。でも、やはり手間がかかって面倒くさい。最近はアップルペイやQRコード決済などがどんどん出てきていますが、いずれにしてもリアルのお店でもしっかり使えるようにするのが最終的には生き残る道でしょう。