DHBR2017年2月号収録の同名論文を要約して掲載。
CSVに不可欠な政府やNGOなどとの協働
かつて、自分たちは社会的変化を促す存在だと考えている企業などほとんどなかった。しかし次第に、社会の進歩と企業の成功の結び付きが明らかになってきた。
たとえば南アフリカで初めてHIV/エイズの大規模な診断・治療プログラムを実施したのは、自社の労働者を保護して長期欠勤を防ごうと考えた世界的な鉱山会社、アングロ・アメリカンだった。売上高760億ユーロのイタリアのエネルギー企業エネルは、いまや発電する電力の45%を、再生可能でカーボンニュートラルなエネルギー源から得ており、年間9200万トン相当の二酸化炭素の排出を回避している。マスターカードは、それまで金融サービスを利用できなかった発展途上国の2億人以上の人々に、モバイルバンキングの手段を提供した。