※「企業、政府、NPOがともに価値を生み出すには」「社会貢献活動を上手に知らしめる方法」「持続可能性を戦略の柱とすべきもっともな理由」の3本の論文は、DHBR2019年2月号「企業は利益のために そして社会のために」内に収録されております。ただし、3本一括での販売は実施しておりません。ご不便をおかけいたしますが、ご理解いただければ幸いです。

「善い行いを重ねても認められない」

「いくら善い行いを重ねても、その功績が認められないのはなぜか」。筆者は最近、ある大規模グローバル企業のCEOからこう質問された。要はこういうことだ。同社は革新的で効果的なプログラムを実施して職場環境で安全性を確保し、サプライチェーンで働く低所得者の所得向上に向けて研修プログラムを実施してきた。自社で使用する水やエネルギーや原材料を削減するために数々の環境政策に取り組んできたほか、従業員にはダイバーシティやボランティアを推進するプログラムを用意した。さらには財団まで設立して、国内外で惜しみなく寄付している。それなのに、誰の目にも留まっていないようだ。

 こうした不満は珍しくない。企業は社会に深く関わっていることをたえずアピールしているが、負け戦が続いている。ビールの世界的大手アンハイザー・ブッシュ・インベブとヒュンダイは今年(2018年)、自社の社会貢献活動を称賛するCMをスーパーボウル放映中に流し、評価がはっきり分かれた。