時間を効果的に使うと得られる幸福感

 研究からは「お金より時間を大切にする人は、幸福度と生産性がともに高い」という明白な結果が出ている。ところが、実際に時間第一の発想へと転換するのは実に難しい。これは一つには脳の仕組みに起因する。時間の価値をどう測ればよいのかわからないという事情もある。1万ドルの報酬アップは理解しやすいが、30分を余計にあげようと言われてもその価値は簡単には割り出せない。

 しかし、ハードルは下がってきている。筆者らは、時間と幸せに関するいくつかの調査において、時間とそれが生み出す幸福感を定量化しようと努めてきた。定量化すれば、時間とお金の二者択一に際してお金を諦めるのは損失ではないと、理解してもらいやすいだろう。

 定量化に当たっては金額を主な尺度にしている。すなわち、時間を効果的に使うと、世帯年収が増加した場合と同じように幸福感が増す、という理屈である。