仲間を集めて方向づける
ブルー・オーシャンのアイデアは、超人的なインサイトの持ち主による、独創的なひらめきと思われがちだ。だが、どんな新しいアイデアも、それを形にするためには仲間が必要である。
現在、アレイの仲間は17人に増えた。その全員が協力して、どのような作品が良質で、実際に制作されるべきかについて、新たな定義をつくり出している。
アレイは、共通のアジェンダ(女性と非白人を中心に据えて、その過程で女性のストーリーや黒人アート・文化を説明する必要のない物語にすること)を実現するために、似たような考え方を持つ人が、目的意識を持って仕事をする場所として意識的につくられた。このようなコンテクストの中で、彼らは新しいストーリーをつくり、製作能力をつけ、市場にリーチする能力のある共同体となっていった。
大手映画製作会社のために『リンクル・イン・タイム』(2018年)を監督することになったときでさえ、デュヴァネイは製作スタッフがアレイと同じような社会構造になるよう要求した。「白人男性の集団を連れてこないで」と、彼女は製作会社に告げたという。「各部門のトップには……多くの部門トップとは違う見た目の人たちを選んでちょうだい」と。
ブルー・オーシャンは、こうして見つけるものだ。たった一人の英雄や反逆者や反乱者ではなく、チームとして、そして社会構造の構築者として見つけるものだ。その結果、『ボクらを見る目』がエミー賞の16部門にノミネートされたとき、デュヴァネイが一人だけではなく、仲間を引き連れてやってきたのはなんら驚きではない。
ブルー・オーシャンは、チームで協力してこそ到達できるものである。チームで取り組むから、互いに疑問をぶつけ合い、従来とは異なる方法でテーマにアプローチすることができる。チームで取り組むから、リスクを一緒に引き受け、互いを信頼して、新しい知識を身につけ、学ばねばならないことを学ぶ、あるいは学び直すことができる。チームで未来を構築するのだ。