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ビジネスパーソンの日常は会議の連続だ。会議が組織文化に与える影響は大きい。社員が一つの場所に集まって議論する機会は、文化の構築につながる。あなたがもしインクルーシブ(包摂的)な組織文化をつくりたいのならば、会議でもそれを実現している必要がある。筆者は、リーダーが会議で実践すべき3つのポイントを提示する。


 今日も会議があったことだろう。有益な時間だったか、それとも無駄に神経を消耗しただけだろうか。

 同じ会議は二つとないが、会社の文化に及ぼす総合的な影響は大きい。会議は重要だ。会議は人々が集まって議論を交わし、決断を下して、意見を聞いてもらう場となる。そこで文化が築かれ、育まれ、維持される。

 そう考えると、よりインクルージブ(包摂的)な文化を育てたい組織や、インクルージョンの手本を示したいリーダーにとって、会議は格好の出発点だ。ただし、私たちの経験から、その要点を理解していないエグゼクティブも少なくない。

 皿回しの曲芸のように、会議を主導するときは、さまざまな細部に目を配らなければならない。議題の設定、時間の管理、衝突の解消、意思決定……。そのうえインクルージョンと言われたとしても、さらにもう1枚、皿を回す余裕があるだろうか。

 しかし、リーダーはやらなければならない。

 長年の研究から、多様性のある組織はエンゲージメントが高く、創造的で、経済的にも成功することがわかっている。雇用の多様性は、数字を分析することによって計算したり管理したりできる。だが、研究室で導き出したベストプラクティスを、会議など仕事の現場に当てはめると、その効果はとらえどころがなくなる。

 私たちは以前の研究で、女性エグゼクティブ1000人以上の360度評価を分析し、会議で疎外感を覚える理由を考察した。女性は発言をためらいがちで、発言を遮られる確率が男性より2倍高い。男性優位の業界や組織では、特にその傾向が強い。

 さらに、その後の私たちのコーチングの経験から、マイノリティの男性も同じように感じていることがわかった。会社や組織がこの問題に向き合わなければ、女性やマイノリティは取り残されたままで、結果的に全体の創造性やイノベーションに影響が及ぶだろう。

 従業員の多様性を確保して成功につなげるためには、インクルージョンを本気で実践する必要がある。つまり、より多くの企業が、多様なバックグラウンドを持つ参加者が平等な影響力を持つような、議論の文化をつくらなければならない。その機会を積極的かつ意識して用意することは、リーダーの責任だ。

 問題は多くのリーダーが、何から始めればいいのか、わからないことだ。会議におけるインクルージブな振る舞いは、全員が着席していることを確認する、全員に発言の機会を与えるなど、幅広い範囲に及ぶ。

 すべてを説明すると複雑になるが、私たちがリーダーにコーチングをする際は、次の3つの分野を重視している。