信頼は業績を押し上げる

 信頼は、グローバルなビジネスを可能にする。それがなければ、ほとんどの市場取引は成り立たない。

 そして信頼は、好業績を上げる組織の証でもある。信頼レベルの高い企業は低い企業と比べて、従業員の生産性が高く、仕事に対する満足度が高く、転職意欲が低く、さらには健康状態がよい。顧客との間に信頼関係を築いたビジネスには、顧客の厚い忠誠心と売上高という報酬が返ってくる。互いに信頼で結ばれた交渉者は、価値創出につながる契約にたどり着く可能性が高い。

 信頼は商取引における最重要事項であるにもかかわらず、その神経生物学的な基礎については、最近まで理解が進んでいなかった。ここ20年ほどの調査によって、私たちがなぜ見知らぬ相手を信頼するのか、リーダーのどのような行動が信頼の崩壊を招くのか、そして神経科学的な知見をいかに同僚間の信頼構築に──ひいては企業の業績向上に──役立てられるのかが、明らかになってきた。