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メンバーが自分の弱さをさらけ出せる環境をつくると、チームの創造性や生産性を高めると言われている。ただし、弱さを見せるにも限度はある。もし自信のなさや不安を際限なく打ち明け、周囲の支えを常に必要とするメンバーがいたとき、あなたはどうすべきか。チーム内に摩擦を生じさせることなく、他人に依存する部下をスムーズに導くための4つのステップを紹介する。


 近年、リーダーがもっと弱さをさらけ出すことで、誰もがみずからの感情を共有できる、安心な職場環境づくりが重要だとする議論が数多くある。だが、許容範囲を超えるところまで進めたら、どうなるか。

 私のクライアントの一人(ここではアナと呼ぶことにする)が最近、この問題で困っていた。アナは、皆が安心して、自分の感じていることを話せるような職場環境をつくった。その結果、才能あふれるデザイナーの一人であるティムは、チームの前で自分の自信のなさを、気後れすることなく打ち明けることができた。

 しかし、ちょっとした励ましの言葉をかけてもらえばいいだけから始まったものの、仕事にまつわる雪崩のような不安をなだめてもらおうとすがるティムを、やがてチームメンバーの誰もが避けるようになってしまった。皆が遠巻きにすればするほど、ティムはますます励ましを求めるようになった。

「彼の才能を失いたくありませんが」とアナは語った。「彼の面倒を見続けるエネルギーが、私にはありません」

 アナの経験はよくあることだ。行動科学によると、才能あふれる人々ほど自信がないことが多い。熱狂的な喜びから深い悲しみまで、強い感情を経験して表現できる彼らの能力は、創造のエネルギー源でもある。しかし、いかに有能な部下でも、限りなく支え続けるのが上司の役目ではない。特にそれがチームの士気を下げたり、他のメンバーの仕事に支障をきたしたりする場合は問題だ。

 部下が何度も同じ質問を繰り返したり、聞きたくないところまで打ち明け話をしたり、常に支えの言葉が必要だったり、批判の言葉を受け止められなかったりする場合、その問題を解決する最善の方法は、正面から立ち向かうことである。自分の心の平穏を保つために他人に依存するメンバーがいるチームを導く、リーダーのための4つのステップを次に挙げる。