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採用担当者は候補者に何を求めているのか。重要なスキルの一つとして、批判的思考(クリティカル・シンキング)が挙げられる。にもかかわらず、学校でも会社でも、批判的思考について学ぶ機会はほとんどない。その能力を正しく理解しておらず、教え方がわからないのだ。本稿では、マネジャーがチームメンバーの批判的思考力を伸ばすうえで有効な方法論を示す。


 批判的思考(クリティカル・シンキング)は、採用候補者に最も求められるスキルである。そのため、教育機関は学生が優れた思考力を持てるよう教育しているはずだし、雇用者は従業員の批判的思考力を伸ばす方法を心得ているはずだと思うかもしれない。ところが、残念ながらどちらも真実ではない。

 6万3924人のマネジャーと、最近の卒業生1万4167人を対象にした2016年の調査によると、新卒採用者に欠けているとマネジャーが考える一番のソフトスキルは批判的思考であり、60%のマネジャーがそのように感じている。

 これは、200校の大学で新入生と4年生に課した統一テストの点数に関する『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の分析と一致する。その分析結果は、名門校数校を出た平均的な卒業生は、批判的思考が4年間でほとんど向上しなかったというものだった。雇用者側の実績も似たり寄ったりだ。彼らの半数が、従業員の批判的思考力は平均またはそれ以下だと評価している

 批判的思考を教えることは、なぜこれほど難しいのだろか。

 まず事実として、批判的思考とは何かについて、意見が一致していないことがある。さらに、その先はますます不透明だ。雇用者の大半は批判的思考力を客観的に評価する有効な手段を持っておらず、ほとんどのマネジャーが自分のチームのメンバーに、より優れた思考力を発揮してもらう必要があるとき、具体的にどう指示すべきかを知らない。その代わりに、たいていのマネジャーは「生き残りたかったら自分で何とかしろ」というアプローチを選び、結局、「自分で何とか」できなかった人たちを重要な意思決定の場から遠ざけるような回避策をとることになる。

 だが、そうしなければいけないわけではない。

 批判的思考とはどんなもので、そのスキルをどうやって高めるかという謎を解明すべく、我々ザルバナは、研究によって裏付けられている3つのモデルに注目した。すなわち、ハルパーンの批判的思考力テスト(HCTA)ピアソンのRED批判的思考モデルブルームのタキソノミー(教育目標の分類学)である。

 これら3つのモデルを使って、我々は批判的思考のロードマップを策定した。これは批判的思考力を4つのフェーズに分けたもので、実行し、統合し、提案し、最後に創出するという、評価可能な4フェーズから成る。

 自分のチームの各メンバーの批判的思考力をどのように評価し、苦戦している人をどのように助け、どのメンバーが次の段階へ進む時期が来ているかをどう見分けるか、下記に述べる。