
フェイスブックはいま、大きな問題を抱えている。個人情報の流出問題だけでなく、ヘイトや偽情報など不適切なコンテンツへの対策も求められている。同社はそれを防止するために、40人の専門家から成る監視委員会を設置した。この委員会はザッカーバーグの意見も退ける独立性を有しており、問題解決への貢献が期待されている。だが筆者は、監視委員会に対して極めて否定的な見解を示す。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが、公的責任を果たす措置を改善すると約束したのは昨年11月のこと。
それから約1年後の今年9月、フェイスブックは新たに設置する監視委員会の概要を発表した。40人の独立専門家が3年間の任期でメンバーを務め、フェイスブックが保有する複数のプラットフォームに投稿されるコンテンツについて裁定を下す。いわばフェイスブックの最高裁判所の役割を果たすという。何よりも注目すべきは、この委員会がザッカーバーグの意見も退ける独立性を持つことだ。
一見したところ、この委員会は、世界20億人以上のユーザーを抱えるフェイスブックが、近年新たに直面する深刻な問題に対する素晴らしい回答だ。フェイスブックの中核的サービスは、コンテンツを大規模かつフリクションレスに広めることだが、それに関連してさまざまな問題に直面してきた。
インスタグラムとワッツアップ、そしてフェイスブックという主要プラットフォームに投稿されるのは、当然ながら、ネコの動画や赤ちゃんの写真ばかりではない。ヘイトに満ちた行動や、政治的に不安定な地域でテロ行為を煽ったり、偽情報を拡散したり、アルゴリズムシステムに侵入したりといった問題が顕在化してきた。こうした問題に大衆が深い懸念を示すのは当然であり、監視委員会はユーザーの不満に耳を傾け、不快なユーザーや投稿について判定を下すタイミングを決定する。
だが、この委員会は、本当にこうしたタスクをまっとうするために設置されたのか。
筆者はそうは思わない。フェイスブックのコンテンツモデレーショの問題点は、実行のまずさではなく、根本的なビジネスモデルそのものにあるからだ。