
ダイバーシティ&インクルージョンの推進が積極的に進められている。大企業のリーダーの多くがその取り組みに支援を表明しているが、彼らの本音は違うところにあるかもしれない。健常者でストレートの白人男性という「特権的」アイデンティティを持つ人たちは、自分たちが非難されていると感じて身構え、抵抗感を覚えている。本稿では、マジョリティとして権利を享受してきたリーダーたちを活動に巻き込む、2つの方法が示される。
大企業のリーダーの多くは、表向きにはダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への取り組みを支援している。
だが、D&Iのコンサルタントとして仕事をしていると、リーダーたちが本当はどのように感じているか、その隠れた一面を見ることが頻繁にある。現場のマネジャーから企業幹部に至る驚くほど大勢の人が、非公式な場では著しく熱意を欠く口ぶりなのである。
「D&Iの話題になると、その場に必要とされていないような気になる」と、ある人物は私に語った。また別の人物は、「まるで私自身が問題の一部であるかのように感じる」と苛立ちを隠さなかった。3人目にいたっては、ついに皆が思っていてもなかなか認めようとしないことを口にした。「誰もが白人男性をやっつけようとしているようだ」
「白人男性のリーダーシップ研究」と題された、白人男性とD&Iに関する研究によると、D&Iに本気で取り組むうえで最大の課題は、研究に参加した白人男性の約70%が述べたように、白人男性が自分たちも「必要とされている」と知ることができるかどうかにある。
そんなのは言いがかりだと、D&I実践者たちは思うかもしれない。リーダーたちをD&Iイニシアチブに巻き込もうと、多大な努力を払ってきたのだから。
しかし、これをリーダーたちのやる気のなさの表れと見なして諦めるより、どのようにして、そしてなぜそうなってしまうのかを理解するほうが、はるかに優れた対応だろう。根本的な原因を理解できれば、リーダーたちを敵ではなく味方にする方法もわかるはずだ。