
女性は男性ほど競争を歓迎しないと言われている。競い合うことを好む人のほうが社会的にも経済的にも成功する蓋然性が高いことが明らかにされており、自分が競争をどのように捉えているのかを知るのは非常に重要である。筆者は2000人以上を対象にした調査から、競争意欲の性差を明らかにした。
一般に、女性は男性ほど競争好きではない。「私は負けず嫌いだ」と公言する女性はあまりいないし、あえて競争したがらない女性は多い。
これは職場での実績にも表れる。複数の経済学者と政治学者による最近の研究によると、競争好きな人のほうが、社会的にも経済的にも成功する蓋然性が高い。たとえば、トップクラスのビジネススクールの卒業生のうち、競争好きかどうかの違いは、卒業から9年後の男女の収入差の10%に影響する。フランスでは、競争好きかどうかは、男性エコノミストと女性エコノミストの昇進ギャップの76%に寄与する。
なぜ、女性は男性ほど競争が好きではないのか。過去の研究では、進化上のプレッシャーや、女性が家庭で伝統的に果たしてきた役割、そして家父長的な社会秩序が原因として挙げられてきた。
この説によると、男性が競争好きなのは、男性のほうが競争によって得られる見返りが大きいからだ。一方、男性のほうが自分に自信があるから競争したがるのだという説もある。女性は、自分が勝てる気がしないから、競争を避けたがるというわけだ。
進化上または歴史的な経緯を変えることは、誰にもできない。だが、筆者の研究チームは現在、男性と女性が競争に対する考え方(それは明確に指摘し、検証し、変えることができる)も、競争意欲の違いに影響を与えるのではないかと考えた。もしそうなら、こうした思い込みを変えて、競争意欲とキャリアも変えることができるはずだ。