(5)初回の面談を行う

 メンター候補との最初の会話には、2つの目的がある。まず、相手が本当に自分のメンターにふさわしい人なのかを見極めること。次に、相手が自分のメンターになる気があるかどうかの確認である。どのようなアプローチで会話を進めるかは自由だが、一般的には、以下のように進めるとよいだろう。

・相手の負担を減らす。相手の行きやすい場所へ出向く。コーヒー(またはお茶)を用意し、下準備をし、相手にプレッシャーを与えず、気兼ねのない会話を心がける。

・相手のことを知る時間にする。自分の発言が全体の時間の3割を超えないようにしたい。

・小さなお願いであれば、すぐに伝えてもかまわない。むしろ、関係を築くのに役立つ可能性がある

・はっきりと依頼をする。「今日はお話しできて本当に楽しかったです。1ヵ月後、目標に向かっていくらか前進した頃に、また会って話を聞いていただけますか?」

・お礼を言い、その後メールでもお礼を言う。

(6)すぐに始める

 次の面談では、面倒なことはせず、単刀直入に前回の会話に基づいて話をする。相手がまた会うことに同意したら、アジェンダ案を送り、長期的な関係を考えていることを匂わす。たとえば、このように。「次は、簡単に近況をお伝えした後、前回のお話をさらに広げられたらと思っています。ご相談したい具体的な質問を用意して参りますので、お知恵をお借りできないでしょうか」

(7)メンターシップ同意書を交わし、相互の責任を確認するステップを踏む

 1度か2度、簡単な会話を持った後、より正式な依頼をしてみる。目標達成または問題解決までの半年間、月に1度、相談に乗ってくれる気があるかどうか。もしあるようなら、その半年間で自分が何を達成するつもりかをまとめた、1枚の簡単な文書を作成することも考えられる。

 少しやりすぎだと感じるかもしれないが、目的を共有することで、自分自身にも、メンターにとっても関係性が明確になる。このように提案するといいだろう。

「お時間をいただき本当にありがとうございます。せっかく貴重なお時間を頂戴するわけですから、最大限活用させていただきたいと思っています。そこで、私の目的や、あなたへのコミットメント、今後3ヵ月で達成したいことをご理解いただくために、簡単な文書をまとめ、そうすることできちんと準備してお会いしたいと思っています。ご了承いただけますか?」

(8)引き続きフォローアップとお礼を言う

 面談ごとにお礼のメールを送るべきなのは間違いない。さらに、設定したメンターシップ期間が終了しても、お礼は言い続けよう。

 私も、パートナーシップを終えた2年後に、メンタリングした相手からメールを受け取ったことがある。おかげで一週間の疲れが吹き飛んだ! メールをくれたお礼に、面白そうな人を紹介できた。向こうも同じことをしてくれた。

 だから忘れないでほしい。人に頼み事をするのを遠慮する必要はない。きちんと感謝を示すことだけは欠かさないように!


HBR.org原文:How to Build a Great Relationship with a Mentor, January 21, 2020.


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