
その程度に差はあれども、誰もが自分の社会的評判を気にするものだ。評判は価値ある財産の一つだが、倫理的な人間だと見られたい気持ちが強すぎると、結果的に非倫理的な選択をしてしまうことがある。公平で「ありたい」という思いと、公平に「見られたい」という思いが衝突し、見栄えを優先してしまうのだ。本稿では、非倫理的な行為を誘発する3つの要因と、その欲求に打ち勝つ方法を紹介する。
評判は、企業にとって最も価値ある財産の一つだ。リーダーもマネジャーも従業員も、自分の社会的評判を気にする。自分には適切な能力があり、寛容で、効率的で、正直で、公平な人間だと見られたがっている。
しかし最近の研究によると、あまりに評判を気にすると、ネガティブな影響がもたらされる可能性がある。道義的に正しいことをしているという外観を無理に保とうとすると、かえって間違ったことをやりかねないというのだ。
昨年、ホリデーシーズン向けCMが大問題になったときのホールマーク・チャンネルの対応がよい例だ。同性愛者の2人が結婚式でキスをする映像は、保守的な団体から猛批判を受け、ホールマークはCMの放映中止を決めた。その理由は、社会の「分断」を招いたり、「議論を起こし」たりすることは、同社の望みではないからだという。
だが、不偏不党に見られたいという欲求や、いざこざに巻き込まれたくないという欲求は、「すべての人がつながるのを助けたい」という同社の価値観と矛盾していた。インクルーシブなブランドという評判を守ろうとして、ホールマークは分断を生むことになったのだ。
筆者の研究チームは、評判を気にかけることが、かえってマネジャーや従業員に倫理基準を破らせるパターンを3つ発見した。道義に反すると思われたくないという欲求を理解することが、外観だけでなく、行動においても、倫理的で公平なリーダーになるために必要なステップの発見につながったのだ。