
通勤で不快な体験をしたり、大量のメールの返信を想像してうんざりしたり、職場に向かう途中でストレスを感じる要素は山ほどある。しかし、いったん職場に着いたら、負の感情を押し殺して笑顔で振る舞うのではないか。その行為に意味はあるのか。偽りの感情を表現することで、職場で良好な関係を築けるのだろうか。
あなたは毎日、さまざまなネガティブ感情に遭遇するだろう。寝覚めが悪かったり、通勤でストレスがたまったり、職場で待ち受ける山のようなメールを想像してうんざりしたり、と。
しかし、いったん職場に着いたら、おそらくこのような感情を表に出さないだろう。暗黙のルールとして、周りの人に敬意と親切心をもって接することが求められるし、周囲に対して常にストレスを感じたりいら立ったりしているような印象は与えたくない。楽観的な見解を保つことにメリットがあるとも耳にする。
だが、同僚の前でポジティブな態度を取ることは、本当によいことなのだろうか。どうすれば、最も効果的にポジティブに振る舞えるのだろうか。
このような質問に答えるべく、我々は金融からヘルスケア、教育に至る広範な業界で働く2500人超の正規雇用者を対象に調査した(この研究は、『ジャーナル・オブ・アプライド・サイコロジー』誌に近々掲載される)。調査の結果、ポジティブであることには、真の恩恵がいくつかあることがわかった。ただし、ポジティブなふりをするだけでは、同じような効果をもたらすとは限らないことも示されている。
先行研究によると、感情のコントロール(「感情労働」と呼ばれることが多い)は、「笑顔でサービスする」ことが明らかに規範とされているカスタマーサービスのように、特定のセクターで勤務する人たちの間で特に浸透している。しかし我々の調査では、顧客ではなく同僚とのやり取りに焦点を絞った。相手が同僚でも、感情のコントロールが同じように必要とされるかどうか、疑問に思ったからである。