笑顔を取り繕う理由

 公式な規則もないのにそもそもなぜ、同僚に対してポジティブでいることを選ぶのかについても、我々は理解したいと考えた。これは対人関係に関わる問題なのだろうか。それとも職場での野心に関わる問題なのだろうか。

 根本的な理由は、各人がどのように感情をコントロールするかで異なってくることに我々は気づいた。ディープ・アクターは、ポジティブでいる理由として向社会的であることを挙げる傾向が強い。たとえば同僚が好きで、同僚との関係は貴重だと考えているから、そのような行動を取る。

 かたやレギュレーターは、印象操作のために感情をコントロールする傾向にある。悪い印象を与えたくないとか、出世したいなどだ。それならば、ディープ・アクターのほうが同僚に手を貸してもらえたり支援してもらえたりするのは驚くに値しないだろう。

 このような結果に基づくと、自分の気分がよくなるよう、心からの努力を払ってポジティブでいるほうが、単に自分の感情を偽るよりも多くのメリットを得られるのは明白である。

 次に不機嫌になりかけたときには一歩退き、同僚との良質なつながりは、自分にとっても好ましい職場環境をつくるためにも貴重であることを思い出そう。そうすることで、心から笑顔になれることを願う。


HBR.org原文:Don't Just Put on a Happy Face at Work, February 19, 2020.