神経科学者なら、この集中していないときの精神状態こそが、脳が活性化されるときの「デフォルト・モード」であることを知っているだろう。

 脳のデフォルト・モードという概念が生まれたのは、1970年代、たとえ休憩しているときでも、脳の中では大規模な神経活動が起きていることが観察された際だった。このような状態のとき、私たちの心はぼんやりと遠い彼方をさまよっている。

 一番そうなりがちなのは、退屈したときだろう。現代社会は刺激だらけで、退屈という感覚は事実上撲滅されたが、その結果、私たちは「白昼夢を見るようなぼんやりした時間」という、脳がデフォルト・モードになる時間を失ってしまった。

 生産性を最大化したいと考えるのは、需要の高まりに対する完全に合理的な反応だ。しかし、容赦ない効率追求は、度を越したものになってきた。

 クリエイティブな思考がもたらす独創性を本当に大切に思うなら、生産性と創造性はしばしば対極に位置することに気づいてもよい頃だ。生産性は集中することによって、創造性は脱集中によって生まれるのだ。

 あなたが職場で、ミーティングやメールへの対応に追われる1日を過ごしているなら、アーロン・ソーキンの経験を思い出して、自問するといいかもしれない。「私が思考する時間は、どこにあるのか」と。

 やることリストを取り外し、デスクから離れて、通勤時はポッドキャストのスイッチを切ろう。毎日、無目的に過ごす時間をつくろう。脳にリラックスする時間を与えることが、最高のアイデアをもたらすかもしれないのだから。


HBR.org原文:Don't Let Your Obsession with Productivity Kill Your Creativity, March 10, 2020.


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