●無理のない期待を設定する
いったん自分の許容量を理解し、それに従って自分の「やることリスト」を刷新したら、次にすべきは他人の期待の設定である。「人を喜ばせようとせず」「約束しすぎることをやめる」べきだと、ジョンソンは語る。
自分がいま何に取り組むべきかを明確にすれば、「無理な要請がたえず入ってくる事態を防げる」とグラントは説明する。「自分と他人との間に境界線を引くのにも役立つし、自分でもその線を再認識できる」
さらに、自分にできることが何かをはっきりさせれば、自分の同僚や上司は概して理解があり、分別のある人たちだということも分かってくる。「実際よりもはるかに悪い反応を想像しがちだけれど、実際には、あなたの線引きを周囲はたいてい冷静に受け止めてくれるし、そのことに罪悪感を覚える必要はない」とグラントは指摘する。
●自分に優しくなる
ここまでの助言に従えば、時間管理術や期待の設定の仕方が少しうまくなるだろう。だが最終的には「自分の幸せは自分自身でつくろう」と、グラントは語る。
「自分の心の許容量を守る」方法を見出し、「『やることリスト』にこだわり続けるのをやめよう」。「人が一度にできることは結局、1つしかない。それ以上は誰がどう頑張ってもできない」とグラントは言う。
終わらなかった3項目にこだわる代わりに、17項目を終えた自分をほめるべきだとジョンソンは付け足す。ポジティブなセルフトークもここで役に立つ。次のような言葉を自分にかけよう。「私は今日、よく働いた。ベストを尽くした。よい仕事をした。そのことを誇りに思おう」
●忍耐を持つこと
ただし、この問題がすぐに簡単に解決するなどと期待しないように。「本稿を読んだら、もう罪悪感を抱かなくなる、などということはありえない」とグラントは語る。
罪悪感との苦闘はこれからも続くだろう。「罪悪感は何度も湧き上がり、何度も繰り返し対処していく心構えでいてほしい」と彼女は述べる。ジョンソンもこれに同意し、「あるときは苦労するだろうし、あるときは簡単に罪悪感に対処できるだろう」と語る。「これはプロセスなのだから」
ありがたいことに、これまでに述べた取り組みを実践すれば、とりわけ「やることリスト」はけっして全項目を終わらせられないという現実をある程度受け入れられれば、「ずいぶん気も楽になるはずだ」という。
●覚えておくべき原則
【やるべきこと】
・現状を再分析しよう。罪悪感を抱いたら、こう自問してみる。私は自分にどんなストーリーを語りかけて、この感情を生み出しているのか。別の見方はあるか。
・他人を支援することが自分の生産性に関わる重要な要素であり、そのような貢献が自分の組織の前進に役立っていることを認識しよう。
・すべては終えられない状態を受け入れよう。あなたの「やることリスト」は絶対に終わらず、心からやりたかったと思うことが常に残っているという現実を受け入れるように努める。
【やってはいけないこと】
・長い「やることリスト」に固執してはいけない。代わりにリストの項目数を絞り、確実に達成できる目標を設定する。
・時間、エネルギー、リソースを過剰に見積もってはいけない。代わりに、投資する価値のない項目を切り捨てる道を選ぼう。
・罪悪感は突然消え去ると期待してはいけない。代わりに、罪悪感との闘いはずっと続くプロセスであり、その感情に何度も繰り返し対処する心構えでいよう。