第1に、陽性の検査結果を知らせてきた従業員に、思いやりを示すこと

 たとえ症状が軽くても、これからどうなるのか、そして家族や同僚にウイルスを広めてしまったのではないかと、その従業員は心配に違いない。その気持ちをあなたに伝えられる雰囲気をつくること。あなたとチームを頼りにしていいことを、明確に伝えよう。

「さぞかし不安だろう。話をしたくなったら、いつでも声をかけてくれ。しばらく仕事ができないかもしれないことや、できても生産性が低下するかもしれないことは理解している。そのことは心配しなくいい。君の状況はちゃんと理解しているから」などと、声をかけられるだろう。

 次に、人事部の担当者に連絡すること。感染拡大リスクを最小限に抑えるために、ここは迅速に動く必要がある。すでに、ほとんどの人事部がこうした場合に備えてプロトコルを定めているだろうから、それを活用するといいだろう。

 ただ少なくとも、感染が確認された従業員に、過去2週間に「濃厚接触」した同僚の名前を聞く必要がある。米国疾病予防管理センター(CDC)は、「濃厚接触」を「感染者と180センチ以内の距離に長時間いた者」と定義している。

 もし、あなたの会社の従業員が過去2週間に全員在宅勤務をしていたなら、濃厚接触者がいる可能性は低い。それでも念のために、同僚と接触していないか聞くべきだ。

 そして、濃厚接触者にできるだけ早くその旨を知らせ、CDCのウェブサイトに示されている通りの助言を与え、かかりつけ医に連絡するよう指示しよう。ここでは、守秘義務をきちんと守る必要がある。感染者のアイデンティティを明かすことなく、濃厚接触者全員に連絡を取ろう。

 濃厚接触者への連絡は、あなたか人事部の担当者のどちらかが行う。センシティブなトピックなので、理想はビデオ電話または電話で行うことが望ましい。だが、この段階ではスピードが重要だから、どちらの方法でも連絡を取れなければ「重要:要返信」などの件名でメールを送ろう。

 どの方法にせよ、あなたのメッセージは同じでなくてはいけない。「私たちの職場の仲間が、新型コロナウイルス感染症の陽性と確認された。あなたはCDCの定義による濃厚接触者に当たる。私たちは全面的にサポートする。いま職場にいるなら、できるだけ早く帰宅の準備をしてほしい。そして帰宅したら、または、すでに在宅勤務中であるなら、自己隔離できる場所を探し、何らかの症状がないかを自分でチェックし、かかりつけ医に連絡すること。その過程で助けが必要だったら連絡してほしい」という内容だ。