濃厚接触者が神経質になることは十分予想できる。彼らはあなたに、多くの質問をするだろう。こうした知らせを受けるのが初めてなら、なおさらだ。その時点ですでに、感染者に接触してから数日が経過しているはずだから、自分の家族もリスクにさらされているのかと、あなたに質問するかもしれない。

 その場合、推測で返事をしないこと。あなたは医者ではない。本人のかかりつけ医に相談したり、CDCのウェブサイトを見たりするよう指示しよう。あなたにできることは、会社とあなたが、彼らをサポートすると安心させることだ。

 メールで会話のフォローアップをする。連絡を受けた濃厚接触者は、驚いて、あなたが言うことすべてを聞き止められていないかもしれない。このケースに限らず、文章で会話の内容を確認するのはいい習慣だ。

 感染者と濃厚接触者への連絡が終わったら、職場全体に警告することを検討しよう。このときのメッセージは、会社が社員をどのように扱っているかの象徴になるので、透明性を確保し、冷静なトーンにすることが重要だ。

 その方法はいろいろある。従業員が200~300人程度のスタートアップなら、全社会議を開いて伝えるのが適切かもしれない。もっと大きな会社なら、関係する部課に連絡することがなによりも重要だ。

 感染者と濃厚接触者のアイデンティティを明かさないこと。そのうえで、シンプルに事実を伝えよう。

「その人物は◯月◯日に陽性との判断が下され、現在は自己隔離中である。濃厚接触者にはすでに連絡済みで、退社して自己隔離するよう指示を出している。その連絡を受けていないということは、あなたは濃厚接触者ではないということだ。新型コロナウイルス感染症または自分の状況について質問がある場合は、かかりつけ医に連絡するとともに、CDCのウェブサイトを見るように。会社はみんなをサポートする態勢を整っている。関係者の最善を祈る」

 最後に、CEOなどのシニアリーダーが感染者に声をかけることは助けになる。筆者がコーチしているあるCEOは3月末、無症状者を含め、陽性が確認された従業員全員と濃厚接触者に電話をかけた。大変な思いをしている従業員に声をかけることだけが目的で、電話を受けた全員が感謝の気持ちを示した。

 感染者が急増し始めたら、CEOが全員に電話をかけるのは現実的ではないかもしれない。しかし、感染者や濃厚接触者が会社に気にかけてもらっていると感じられるように、シニアリーダーはできるだけ多くの電話をかけるべきだ。

 いまは誰にとっても難しい時期であり、リーダーが従業員を安心させ、そのやる気を維持することが非常に重要だ。陽性と確認された従業員は、気配りと迅速な対応を必要としている。それは、あなたの会社に勤める人全員がより安全を感じ、あなたの会社が直面する重要な仕事に集中する助けになるだろう。


HBR.org原文:Your Employee Tested Positive for Covid-19. What Do You Do? March 30, 2020.


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