●頻繁なコミュニケーションで距離を縮める

 従業員1000人のハイテク企業のCEOであるユーバル[注]は、直属の部下に少なくとも1日1回はメッセージを送るか電話をしている。

 通常は特に議題はない。「何か私から必要なものはないか、確認です」「今日はどんな質問がある?」「Xについて知ったので、あなたに最初に知らせたくて」「書斎の壁の写真を見ると、チームで行った冬の旅行と君の絶品のスモアを思い出します」などと彼は伝えている。

 ユーバルは部下に、必要な時は連絡するようただ依頼するのではなく、頻繁なやり取りを積極的に行っている。そうやってチームの状態を常に正確に把握しているのだ。

 とりわけ、危機の最中に連絡して上司の仕事を増やすことを躊躇している部下には配慮をしている。

 ●「オフィスアワー」に質問を受け付ける

 マネジャーは日々数十の決定を下し、軽い会話を通して部下に多くの情報を提供する。こうしたやり取りは、メンバー全員が参加する会議に匹敵するものではないが、軽視されると細かな事項が棚上げされ、問題に発展する恐れがある。

 非営利団体のエグゼクティブディレクターであるマリッサは、「オフィスアワー」を設けている。10分以内に対処できる懸念事項がある場合は、1日1時間の「オフィスアワー」にビデオ会議アプリで話しかけるよう部下に勧めているのだ。

 誰かがアクセスしてきたら、会議はロックする。オフィスのドアを閉めるのと同じだ。ロックがかかっているときは、部下は約10分後に再びアクセスを試みる。

 より複雑な問題については、別に会議を設定するよう部下には指示している。日常的な問題に対処する時間を設けることで、業務の流動性を維持し、小さな問題が解決困難な大きな問題に悪化するのを防ぐことができる。

 ●ルーチンを通して安定性を提供する

 予測不可能なことと絶え間ない変化に満ちた生活においては、ルーチンが予測可能性と規則性をもたらす。

 明日どんな課題に直面するかはわからないが、いくつかの課題に直面することは確かだ。できる限りルーチンの中に取り込むことで、予測不可能なことをよりうまく管理することができる。

 部下がアクセスしやすい状況をどう慣例化するかについて、以下に例を挙げよう。

 前夜までの進展をチームで共有し、その日の進行を決めるための時間を朝15分間設ける。会議のはじめに全員が自分の現在の心理状態を1語で表し、その後に一言で詳しく報告する(「パスします」と言ってもいい)。もしくは、毎週の会議で、全員が帽子をかぶるといったテーマを決めてもいいだろう。

 予測可能なルーチンをつくり、例を示して指導することで、マネジャーはチームが変化の勢いにさらされているときでも、連帯感や安心感、そして楽しむ心を育むことができる。