●明確な境界線を設けて安心感を高める
マネジャーとしてアクセスのしやすさを高めることは、マイナスの面もある。新たな常識に適応し、複雑な感情に対処し続ける中で、頻繁なやり取りを好まないチームメンバーもいれば、あなたのキャパシティ以上にやり取りを望むメンバーもいる。
あなたの都合を明確に示したら、境界を設定し、メンバーにも同じことをするよう勧めよう。たとえば、このように伝えてもいい。
「私は皆さんとの時間を優先します。日々の確認からオフィスアワーまで、さまざまな方法で連絡します。自分の時間が必要で、あまり頻繁にやり取りしたくない場合は教えてください。また、メッセージには即日返信するよう努めます。ただ、滅多にないこの機会を利用して、毎日正午から30分間は家族とのランチの時間にしています」
自分の都合を明らかにし、部下にも自由を与えることで、部下の都合のよいときにつながり、彼らが境界を設けることを認めることができる。
●解決策だけでなく問題を受け入れ、有利な状態に
エンゲージメントに関する従来のルールがほぼ通用しなくなったいま、誰も決定的な解決策を持っていない。チームに対しては、解決策が見つかっていなくても、問題を報告するよう促そう。
こんな伝え方もある。「現在の世界では、誰もが疑問を持っていますが、答えを持っている人はほとんどいません。トラブルの兆候や私には見えない問題に気づいたら、解決策が見つかるまで待たずに報告してください。初期の兆候を知らせてください。そして、対策方法を一緒に考えましょう」
初期の段階で問題を把握したいと明確に伝えることで、視野が広がり、幅広い解決策を見つけることができる。
●フィードバックを通じて能力を発揮させる
ビデオで互いの顔を見ることはできても、リモートワークには非言語的コミュニケーションの繊細さに欠ける。困難な時期には、自分を認めてもらうことや、よい知らせに対する人々の欲求が高まるものだ。
1日の終わりに、(素晴らしい仕事だけでなく)よい仕事に対する具体的で肯定的なフィードバックを与える時間を確保しよう。感謝を示すことで、混乱をもたらす不安をやわらげることができる。
また、山積みの問題が悪化する間に、解決のためのタイムリーなフィードバックを与えること。細かく、頻繁な指導をすることで、将来的な大きな修正を回避することができ、距離や日々の変化があってもチーム全員が調和を保つことができる。
研究者のテレサ・アマビールとスティーブン・クレイマーは、従業員のモチベーションについて広範な研究に従事し、有意義な仕事を進展させることが、従業員のエンゲージメントを維持するカギであるとした。
リモートワークへの迅速な移行はストレスをもたらし、日常の活動を困難にする恐れがあるが、マネジャーとしてあなたがすべきは、進展を阻む障害物をできるだけ多く排除することだ。
自分にいつアクセスできるのかを明確に伝えることで、チームメンバーがあなたとのつながりをより深く感じ、懸念や疑問に対処する支援をすることができる。
HBR.org原文:How Managers Can Support Remote Employees, April 01, 2020.
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