Illustration by Kirsten Ulve

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、企業の危機管理体制が問われている。ただ、この重大な危機を飼い慣らし、コロナ以前の状態に戻ることは不可能かもしれない。むしろ、危機を適切にマネジメントして、危機から生まれるニーズを捉え、成長への新たな道筋を見出すことが重要だ。そのカギを握るのは、想像力である。本稿では、想像力豊かな組織に変わるための7つの条件を紹介する。


 いまさら、「危機管理」とは何かを説明するまでもないだろう。

 予期していない重大なことが起きたとき、人はまず、現状を揺さぶる大激変から自分を守り、その後、問題を理解してマネジメントしようとする。平常の状態を取り戻すために、危機という予測不可能な敵を飼いならすこと――一言で言えば、それが危機管理だと考えられている。

 しかし、危機に直撃されると、もはやそれ以前の勝手知った状態に戻ることはできないのかもしれない。パンデミック(感染症の世界的大流行)や戦争などの社会的危機は、しばしば新しい行動パターンやニーズを生み出す。それらを適切にマネジメントする必要がある。

 そのような状況で、新しい機会をつくり出し、新しいチャンスをつかみ、成長への新たな道筋を見出すうえでカギを握るのは、想像力だと私たちは考えている。まだ存在しない物事や状況に関するメンタルモデルをつくり上げ、それを発展させ、利用する力が求められるのだ。