
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、在宅勤務を続けている人は多いだろう。そこには多くの苦労が伴うが、「ズーム疲れ」を訴える人が目立つようになった。ビデオ会議ではなぜ、対面の会議以上に疲労を感じるのか。どうすれば、ビデオ会議の負担を軽減できるのか。本稿では、そのための5つのヒントを紹介する。
仕事が終わったときに以前より疲れていると感じているのは、あなただけではない。ここ数週間、ソーシャルメディア上で「ズーム疲れ」という言葉をよく見かけるようになり、グーグル検索でも3月初旬から増え続けている。
ビデオ会議はなぜ、これほど疲れるのか? その理由はいくつかある。
1つは、情報を吸収するために、より真剣に会話に集中しなければならないからだ。会議室で座っているときは、注意散漫になったり、ちょっとした質問に答えたりするにも、隣の人とこっそり話せば乗り切ることができる。しかし、ビデオ会議ではプライベートチャット機能を使用するか、ミュートを解除して、同僚にもう一度言ってほしいと気まずい思いで頼まない限り、それは不可能だ。
ビデオ会議は注意散漫になりやすいのは事実だが、それでこの問題が解決するわけではない。30秒間に人の話を真剣に聞きながらメールをチェックし、友人にメッセージを送り、チャットアプリのスラックにスマイルマークを投稿できると誰もが思っていただろう。でも当然ながら、注意散漫なときに話を聞くことは、ほとんどできない。
自宅でリモートワークをしているときは、火に油を注ぐような状況が多い。私たちは単にバーチャル会議を1、2回こなしているのではなく家族にじゃまをしないよう丁寧に頼む方法を常に考えたり、ダイニングテーブルの上からヘッドホンを取ろうと床を這う家族を追い払ったりしている。プライベートな仕事のスペースがない人にとっては、特にやっかいだ。
「ズーム疲れ」は、私たちがビデオによって情報を処理するプロセスに起因する。ビデオ会議で自分が集中していることを示す唯一の方法は、カメラを見ることだ。しかし、現実の世界で1メートル以内の距離で同僚の顔を凝視することがあるだろうか? おそらくないだろう。「凝視し続ける」ことは不快で、疲れるからだ。
実際に対面しているときは、周辺視野によって窓の外を見たり、同じ部屋にいる別の人を見たりすることができる。だが、ビデオ会議では皆が別々の家にいるので、窓の外を見ると集中していないように見えるのではないかと心配してしまう。
また言うまでもなく、ほとんどの人は画面上の小窓に映る自分の顔を見ているので、顔にしわを寄せることや表情をつくること、それらがどう解釈されるかを過度に意識する。焦点をいったん外す視覚的な小休止がなければ、脳は疲弊する。
悪い話ばかりに思えるかもしれないが、諦める必要はない。ビデオ会議の負担を軽減するための、研究に基づく5つのヒントを紹介しよう。