HBR Staff

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、マーケティング業界に大きな混乱をもたらした。あらゆる前提が覆され、マーケターにはこれまで以上に迅速な意思決定が求められる。データにもとづく決断を下すべきことは変わらないが、あなたは顧客の実態を正しく把握しているだろうか。本稿では、データドリブンの意思決定を下すために重要な4つのアプローチを示す。


 2020年春に生じた事態は、マーケティング業界に大混乱をもたらした。健康と経済への未曾有の危機を踏まえ、マーケティングチームは慌てて広告メッセージやキャンペーン、提案要素の見直しに走った。

 自社の顧客に関するこれまでの前提は――彼らが何を、なぜ、どのように購入するのかを含め――もはやあてにできない。

 わずか数日のうちに、店が閉じ、eコマースの売上げが増え、コンタクトセンター(顧客対応窓口)での顧客とのやり取りが激増した。同時に、在宅勤務を始める人が増え、オンラインで過ごす時間とテレビの視聴時間が増えるにつれ、メディア消費のあり方も変化した。

 急激な変化が新たな常態となり、マーケターにはこれまで以上に素早い意思決定が必要となるが、その判断はデータに依拠すべきという点は変わらない。企業はマーケティング・アナリティクスに資金を注いでおり、ガートナーの報告によれば昨年、CMO(最高マーケティング責任者)は他の何よりも、この分野に投資している。

 とはいえ、データにどっぷり浸かっているマーケターでさえも、仕事の効果と顧客については不完全な実態しか把握していない。

 自社の顧客はどんな体験をしているのか。どのマーケティング戦略が実際に奏功しているのか。マーケティングチームはこれらに関する実態を軸に正しい判断を下すために、以下の4つのアプローチを多用すべきである。