我々の研究結果は、モチベーションを上げるためには、誰かが物理的に近くにいる必要があることを示しているように思えるかもしれない。
そうだとすると、今後数ヵ月は何らかの形でソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を取り続ける必要がありそうなので、先行きは暗い。ただし、我々の研究からは、他者に見られているときはもちろん、見られている気がするだけのときでも、自分が大きなことをやっていると感じられることがわかっている。
ある研究によると、スクリーン越しに録画中であることを表す目のアイコンがあるだけで、人はより熱心に働く。カメラによる録画も、実際に誰かに見られている場合と似たような効果をもたらす。
こうした研究結果から、一人でリモートワーク中にも、他人のプレゼンスを活用してモチベーションを高める方法が見出せる。自分の仕事ぶりを見てもらう「目」を招き入れ、社会的距離を保つルールを守りつつ、他者の存在をみずからの生活に引き入れて、モチベーションを上げる戦略を見出すことは可能である。
実際にどうするとよいか、いくつか例を挙げよう。
・同僚とのビデオ会議を日中オンのままにして、仕事している姿をお互いに見せ合う。まるで、同僚が隣の席にいるかのような気分になれる。
・メールを送る代わりに、短時間でよいのでビデオ通話をすることで、自分が何をしているか、他者が見たり聞いたりできるようにする。
・同僚とオンライングループを設定して、自分のプロジェクトの進捗度について報告し合い、互いに最後まで責任を持って成し遂げるようにする。
・自分が取り組んだことを記録できる生産性向上アプリを使う。
・自分の成果の写真を撮り、同僚や上司、友人に見せる。
・自分のプロジェクトに関する最新情報を同僚や上司に送る。
・取得したいスキル、あるいは上達させたいスキルに関する「グロース(成長)リスト」を同僚と一緒に作成し、進捗度を報告し合う。
・1日の終わりに「やったこと」リストを書き出して、それを同僚、友人、家族に見せる。一見些細だと思えるようなタスクを入れるのを、忘れないように。たとえば、フォルダの整理、気が進まないメールを書いたこと、カンファレンスで知り合った人への連絡など。
パンデミックのあいだ、誰の日常生活にもこれまで以上の困難が伴う。しかし、だからといって、仕事を成し遂げたいというモチベーションまで犠牲にする必要はない。我々をつなぐテクノロジーのおかげで、リモートワーク中でも他者の存在を感じて、モチベーションを上げることはできるのだ。
HBR.org原文:We Work Harder When We Know Someone's Watching, May 18, 2020.
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