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自社の商品・サービスに対するカスタマーレビューを見ると、不当な低評価と言わざるを得ないものを目にすることがある。企業は、こうしたレビューを公に糾弾することもできるが、冷静に活用すれば消費者の共感を生むこともできる。本稿では、そのための3つの方法を紹介する。


星1つ:「『並』のキャニオンだった」
―― グランドキャニオン国立公園の評価(イェルプ)

星1つ:「ただの茶色い金属の塊。どうってことはない」
―― エッフェル塔の評価(トリップアドバイザー)

星1つ:「アイスクリームが冷たすぎる」
―― マクドナルド店舗の評価(イェルプ)

 ユーザー評価のウェブサイトには、消費者の常識外れな期待によるものや、企業にはどうしようもないことに対する身勝手な評価がよく見られる。

 トリップアドバイザーにおける、世界の上位60のホテルに対する星1つまたは2つの評価の中から、独自の判断で抽出した1000の評価に関する調査によれば、そうした悪い評価の約4分の1は、何らかの点で公正さを欠いているという。

 不当な低評価の横行に、企業はどのように対処すべきなのだろうか。

 顧客が公言する不満への対処法は、二分されているようだ。評価者を公に糾弾したり、相手を訴えたりする企業もあれば、ウィーン市観光局のように、否定的な口コミに乗っかり、いわゆる「欠点」を広告キャンペーンでの「売り」に転換する企業もある。たとえば同局は、穏やかなドナウ川でボートに乗っているカップルの画像に、「退屈!」というコピーと星1つを重ねたポスターを制作した。

 筆者ら3人は、企業がウィーンを見習い、このような公平性を欠く否定的な評価を受け止め、取り入れることを、次号の『ジャーナル・オブ・マーケティング』で提案している。

 不当な低評価について筆者らが消費者調査を行ったところ、もともと持っていた企業イメージが不当な評価でも変わらなかった人が多く(43.1%)、企業イメージが向上した人も回答者の4分の1以上いた。

 さまざまなカテゴリーにわたる商品・サービス、および3000以上の観察の結果、不公正なレビューは、それを読む第三者である消費者の、その企業に対する同情や共感をおのずと誘っていることがわかった。

 個人間での共感の生じ方と同様に、人は公正性のバランスを欠いた批評を目にすると、批評された側への共感が強まる。そして、この共感が購買の増加や愛顧といった好結果を企業にもたらす。不当な低評価は、高評価と同じくらい企業を助けることがあるのだ。

 以下、ユーザー評価を利用して消費者の共感を呼ぶ3つの方法を紹介する。