●在宅勤務の増加

 第1の要因は、恒久的に在宅勤務を選択できる(そしてそれを選択する)働き手が増えていることだ。人がどのくらい料理をするかは、自宅で過ごす時間の長さと相関関係がある。その点、コロナ後の時代には、自宅で仕事をする人が増えると予想できる。

 たとえば、グーグルは、2021年まで社員の過半数が在宅勤務を続けると述べている。また、ツイッターのジャック・ドーシーCEOは、新型コロナウイルスの感染が収まったあとも、恒久的に在宅勤務を認める方針を明らかにした。

 米国国勢調査局によると、2017年の時点で主に自宅で仕事をしていた人は、すべての働き手の約5%だった(2000年には3%あまり)。労働省労働統計局によれば、2018年に在宅勤務が可能だった人の割合は29%だった

 このいずれの数字も上昇することは間違いない。コロナ禍で長期間にわたって在宅勤務を経験し、多くの専門職がオフィス外でも生産的に仕事ができることに気づいたからだ。

 では、その割合は具体的にどこまで上昇するのか。それは、企業側のメリットと社員の希望という2つの材料によって決まる。

 まず、企業側の事情。企業のCFO(最高財務責任者)を対象とした調査によれば、多くの企業ではコスト削減のために社員のリモート勤務への転換を計画しているという。それが実現する可能性は高いように思える。そうすることにより、会社のコスト全体に占める固定費(長期契約によるオフィス賃料など)の割合を大幅に減らせるからだ。

 一方、ケンブリッジ・グループの調査によれば、米国人の44%は、新型コロナウイルスに対して強い不安を抱いていて、対人距離の確保を徹底している。

 この2つの調査結果を合わせて考えると、すべての働き手の20~30%が自宅で働くようになる可能性がある。これは、数年前に比べて4~6倍に増える計算だ。

 ただし、留意すべき重要な点がある。在宅勤務への移行が進んでいるのは、主として高所得地域の高所得者だ。米国の世帯所得上位25%の世帯では、62%の人が在宅勤務を選択できる。この割合は、全国平均の2倍以上である。

 一人当たり所得が高い上位10都市圏のうち7都市圏は、カリフォルニア州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州に集中している。これらの地域の市場は、全米のレストラン業界、スーパーマーケット業界、そしてそのほかの多くの業界にとって、未来を告げる「炭鉱のカナリア」のような存在と言える。