●単身世帯の増加
第2の要因は、単身世帯が増え続けていることだ。
自炊のメリットは、一人暮らしの世帯と大人数の世帯で大きな違いがある。1人分の料理をつくるのは不便だし、大勢の分をつくるほど費用対効果も高くない(レシピで1人分のつくり方を説明しているケースが少ないのは、そのためだ)。単身世帯の増加は、料理人口が減った大きな理由の一つだった。
国勢調査によれば、米国の単身世帯の割合は、1969年には17%だったが、2019年には28%に増えている。また、1984年から2018年にかけて、年間の結婚件数は16%減り、210万件まで落ち込んだ。同じ期間に、米国の人口は72%増加しているにもかかわらず、このような結果になっているのだ。
米国の出生数は、2018年には380万人に落ち込んだ。これは、32年ぶりの低水準だ。
最近、人々が長期間にわたり家にこもって過ごすようになったことで、コロナ後にベビーブームがやって来るのではないかという冗談のような話を聞くことが多い。しかし、それが現実になることは考えにくい。むしろ、人々が外出を控えることで、新しいカップルの出会いの機会が減る可能性が高い。
それに、研究によれば、不安が高まっている時期は出生率が下がる傾向がある。たとえば、シカゴ大学のリチャード・エヴァンズ上級講師によると、大型ハリケーンの警報が発せられると、統計上有意なレベルで出生率が下がったという。「人は命からがら逃げようとしているときに、あまり子づくりはしない」と、エヴァンズは述べている。