ここで大切なのは、本物のサインと偽物のサインを見極めることだ。偽のサインとして、たとえば身体的魅力によるハロー効果がある。人は無意識に外見のよい人に魅力を感じる。この偽のサインのせいで、外見とは無関係なスキルまで好意的に評価してしまう。

 最善の候補者を見つけるには、魅力的であっても仕事とは関係のない偽のサインは見なかったことにして、職務の遂行に重要な本物のサインを見定める必要がある。

「直感に従う」代わりに、分析力を駆使して適切なタイプの候補者を絞り込もう。あなたの過去のデータを総動員し、その職務(新設するポジションであれば、似たような職務)に成功した人や失敗した人のそれぞれの特徴を回帰分析する。成功や失敗を予測するのは、どの独立変数(学校の成績、専攻、課外活動、面接での回答)だろうか。

 データに語らせれば、成功の隠れた要因を学び、重要な本物のサインと重要ではない偽のサインを見極めることができるだろう。そして、山のような履歴書をもっと効率的に取捨選択し、面接時間を上手に活用することができる。

 また、過去の採用の経験から学ぶことに加え、未来に向けた採用をすることが大切だ。私たちが抱く適任者のイメージは、過去に基づくことが少なくない。つまり、その職務(または似たような職務)において過去に成功した人のタイプに由来することが多い。

 この落とし穴を避けるべく、あるエグゼクティブは会社が直面する現在と未来のシナリオをつくり、それにどう対処するかを候補者に質問した。実際の面接に先立って書面で回答を提出してもらい、重大な問題に対処する思考プロセスを候補者ごとに分析した。名前は伏せ、性別や人種、年齢もわからないようにした。この方法は、次の選考段階に進むのにふさわしい人を選び出すのに役立った。

 面接の現場では、耳から入る偽のサインも回避する必要がある。

 私たちは、ジェフリー・フェッファー教授とロバート・サットン教授が「スマート・トーク」と呼ぶスキルを過大評価しがちで、耳からの第一印象に惑わされることがある。フェファーとサットンによると、スマート・トークをする人は「自信にあふれ、明快で、雄弁な印象を与え、興味深い情報やアイデアを持っていて、ボキャブラリーが豊か」であり、その語りは行動に代わる機能を果たすことが少なくない。

 心理学者マーク・スナイダーによると、スマート・トークをする人は「セルフ・モニタリング能力が高い」。ちょうどカメレオンのように、周囲の状況に合わせて自分自身を巧みに変容させることができる。彼らに魅入られると、口は達者だが中身の伴わない人を選んでしまうことになる。

 さらによくないことに、面接であなたが期待する回答を上手に言えるような人は、オフィスで表と裏の顔を使い分けて人を操作する可能性が高い。この落とし穴にはまらないよう、面接では次の4つのヒントを念頭に、隠されたメッセージを聞き取ろう。