マイクロアグレッションは、白人の特権を強化し、インクルージョンの文化を傷つける。もちろん最善の解決策は、マイクロアグレッションに対する意識を高め、非黒人従業員にそれをやめるよう強く要求し、口にした人物を批判することだ。
しかし、そうした変化が見られない場合、さらに完全に防止することはおそらく不可能であることを踏まえると、黒人は職場におけるマイクロアグレッションにどう対応すればいいのか。
その方法は主に3つある。
●聞き流す
長年、職場で不快なコメントに遭遇したときの標準的な対応は「放置する」というものだった。マイクロアグレッションは実によくあるのだが、ごく些細なものであるため、いちいち相手にすると指摘するほうが疲れてしまいかねない。
その一方で、沈黙は黒人従業員に精神的な負担をもたらす。何がどうして起きたのかを考えあぐね、不快感を覚える自分がいけないのかと自問し、アイデンティティによって自分の価値が低く見られていると感じる。
●ただちに対処する
記憶が新鮮なうちに問題点を指摘し、その意味を説明することは、相手の行動を正すうえで重要な戦略だ。ただし、このアプローチにはリスクも伴う。マイクロアグレッションをした人物が言い訳を並べて、ターゲットにされた人物のほうが「取り乱した」という印象を与え、神経過敏で不満ばかり言うトラブルメーカーだとか、典型的な「ヒステリックな黒人」だというレッテルを貼られる恐れがある。
●時間を置いて対処する
会話のあとで、マイクロアグレッションをした人物に、なぜそれが不快なのかを直接伝える方法もある。この場合のリスクは、タイムラグだ。相手にマイクロアグレッションとその状況を思い出させ、そのインパクトを説明しなくてはいけない。
黒人従業員がこれをやると、「そんなちっぽけなこと」に「いつまでも」怒っているなんて狭量だと思われかねない。相手に「悪意はなかった」し、すっかり忘れていたのに、と言うのだ。こうした非難は、人種差別的な心理操作であり、非常に大きなダメージを与える可能性がある。
これら3つの対処法のどれを実践するのが最善かを判断し、有効な対話を実現するためには、以下の枠組みを参考にするとよいだろう。