(1)頻繁にコミュニケーションを取る

 ほとんどのリーダーは、自分が必要だと思っている以上に、頻繁に従業員とコミュニケーションを取る必要がある。頻繁にコミュニケーションを取ることで、不安や不確実性を減らし、確実に従業員にメッセージを伝えることができる。

 リーダーは、基本的なメッセージを繰り返すことに疲れを感じるかもしれないが、チームメンバーはそうしたメッセージを何度も聞く必要があることを認識しなければならない。従業員によって、メッセージを伝える適切な方法チャネルは異なることもある。

 多くの人が悪いニュースや自分の行いとはほぼ無関係のネガティブな結果に直面しているいま、リーダーは明るい部分を見つけ、それを強調することを忘れてはいけない。また、過去に困難に直面しても組織が成功したときのこと(2000年代初頭のドットコムバブルの崩壊や2008年の金融危機など)を思い出させることで、悪いニュースを打ち消すこともできる。

 組織のリーダーがどのようにコミュニケーションを取るかによって、従業員の組織へのコミットメントが高まったり、低下したりする。パンデミックが多くの困難をもたらしているにもかかわらず、ある回答者は次のように述べた。

「(リーダーが)連絡をくれ、会社が私たちを支えてくれていると安心感を与えてくれることに、励まされる。私はそのことをソーシャルメディア上で自慢し、この会社が私たちを雇用し続けていることや、状況が厳しくなったときに働きたいと思う会社であることを人々に伝えた」

(2)フィードバックのための安全なチャネルを提供する

 私たちに寄せられた、失望した従業員のコメントについて考えてほしい。

「私の会社では、ほとんどの情報は安全ではない。情報はいつも漏れる。人事部のリークなのか、人々がうわさ話を止める方法を知らないだけなのかわからないが、個人的な情報はけっして安全ではない」。従業員は報復を恐れずに、自分の懸念をリーダーに伝えることができなければならない。

 組織のリーダーは、従業員がフィードバックをできるチャネルを伝え、あらゆるレベルの従業員からの意見を重視していることを強調すべきだ。たとえば組織は従業員に対して、人事部に訴える、シニアリーダーに相談する、マネジャーとの1対1の定例ミーティングで取り上げる、匿名で提案できるチャネルを設置するなどのコミュニケーション手段を提供することができる

 さまざまな選択肢を用意することが重要だ。なぜなら、マネジャーとの関係、人事部が協力的だと思うかどうか、公式の匿名チャネルの反応についての見方などから、従業員は特定のチャネルの安全性について、それぞれ異なる見解を持っている可能性があるからだ。方法の選択肢を設けることで、従業員がフィードバックをしやすくなり、ひいては会社の行動に対する彼らの満足度を高めることにつながる。

 そして、リーダーは、従業員からどんなフィードバックを得ているのかを定期的に報告しなければならない。問題点、懸念事項、フォローアップの行動を、慎重にまとめて共有することで、危機的な時期のリーダーへの信頼が高まり、危機の収束後もその信頼は継続するだろう。