Illustration by Israel G. Vargas

新型コロナウイルス感染症の影響で景気は後退し、消費が大きく冷え込むことが予想される。消費者のニーズに応えるために、商品の価格を引き下げるべきだと考えるかもしれない。従来から低価格を売りにしてきた企業が、不況の中でも業績を伸ばしやすいことは事実だ。しかし、これまで差別化戦略を採用してきた企業が突然、コスト・リーダーシップ戦略に転換したところで勝機はない。


 私たちはいま、大恐慌以来最悪の経済危機の中にある。失業率は史上最悪を更新し、国際通貨基金(IMF)は2020年の米国の国内総生産(GDP)が6%近く下落するという予測を示している。

 これが純粋に供給面のショックであれば、経済活動の制限が解除されれば、米国経済はすぐに回復に向かうだろう。しかし、シカゴ大学ベッカー・フリードマン研究所の報告書によれば、今回の危機で失われた雇用の42%はもう戻ってこないという。

 この予測が正しいとすれば、供給面のショックが2008年の金融危機時のような需要面のショックに転じる。この場合、景気の回復はもっと遅くなるだろう。不確実なことが多い中で、企業で戦略立案を担う人たちはどのように行動すべきなのか。