●日程調整の難しさを逆手に取る
リモートワーク中の参加者の日程調整は、なかなかに難しい場合がある。時差の問題もある。だが、ブレインストーミングに関して言えば、かえってそのほうがありがたい。なぜなら、最善のアイデアを思いつくのに全員が集合する必要はないからだ。
集団思考理論によれば、個人が自分一人でアイデアを考えているときには、それぞれが違った視点で問題を考えているが、集団で一緒になってアイデアを出そうとすると考え方が似通ってくるため、一般的な解決策に収束しやすい。
ブレインストームを行うとき、まず個別に解決案を考えさせるか、少人数のグループに分けて案を出してもらおう。最初から参加者全員が互いにアイデアをぶつけ合う状況は避けたい。とにかく、リモート環境でそれをやるのは得策ではない。
まずはメンバー全員を問題と向き合わせ、取り組ませる。その方法の一つは、少数のグループごとにアイデアをまとめさせることだ。もう一つの方法は、アイデアに関する議論を行う前に、自分が全員分のアイデアを集めて整理することである。
第一段階が終わったら、集めた解決策を全員に回覧・展開し、それを土台にアイデアをさらに膨らませる。初期のアイデアをまとめた文書を全員が編集できる形で共有して、参加者に発展的なアイデアを自由に書き込ませるのだ。
集まったアイデアを読んでいくうちに、案によっては、参加者以外の専門家の知識も欲しいと思うときが出てくるだろう。この段階に時間をかけられるならば、新しいメンバーを呼び入れて、貴重な視点を取り入れられるので、メリットは大きい。
最後の段階として、全参加者を召集し、最も有望なアイデアについて議論し、検討を進める数案について合意する。