認知的会話
●必要な場面
批判者があなたの主張に反対しているのは、客観的な理由があるからかもしれない。彼らが論理的な反対理由を明確に述べ、他意はないように見えるなら、認知的な会話で説得を試みよう。このアプローチは、批判者が現実主義者で、私情をはさまない判断ができることで知られる場合、とりわけ役に立つ。
●やり方
上手な認知的会話には、2つの要素を兼ね備えていなければならない。理にかなった主張と、良質なプレゼンテーションだ。
たとえば、あなたがサプライヤーの変更を主張していたとしよう。現在のサプライヤーの製品は、下流工程で多くの問題を引き起こしていた。あなたが見つけてきた新しいサプライヤー候補は、材料も製品も現在のサプライヤーより質が高い。だが、現在のサプライヤーと長い付き合いがある同僚は、新しいサプライヤーは料金が高いことを理由に挙げて変更に反対している。この批判者の主張が誤りであることを示す、理に適った主張を準備したい。
たとえば、現在のサプライヤーが生じさせる追加的な生産コストを考えると、新しいサプライヤーの料金は高くないと指摘できるかもしれない。また、あなたは論理的な枠組みと明快なストーリーを示して、批判者に再考を促したいと思うかもしれない。この場合、その決定はコストと品質とサービスを考慮に入れているが、とりわけコストと品質に基づくと主張できるだろう。
このディスカッションには、感情を持ち込まないことが重要だ。感情を持ち込むと、あなたと批判者の間に合理的な妥協点がないという印象を与えかねない。たとえば、あなたは同僚と現サプライヤーの関係はどうでもいいいと思っているように見られたくないだろう。
目指すべきは、客観的かつ事実に基づくと、批判者の当初の見解は、あなたの主張ほど合理的ではないと示すことだ。注意しなくてはいけないのは、このタイプの批判者は、一般論ではめったに説得できないことだ。知的な口論を交える覚悟で、自分の主張の各要素を裏付ける事実を十分に集めておこう。
●注意点
このタイプの批判者から「イエス」という答えを得たからといって、永遠に支持者になってくれるわけではない。この特定の問題では説得できたかもしれないが、将来的には再び異論を唱えるかもしれない。そうなれば別の問題について再度、認知的な会話をする必要があるだろう。