信頼できる同僚の助けを借りる

 ●必要な場面

 批判者の個人的な信念ゆえに、あなたの提案に反対する場合がある。たとえば、新しいプロダクトに必要な臨床試験が有害だ、あるいは自分の価値観に反するという理由で反対するときだ。実験がもたらす恩恵が潜在的な害よりも大きいという証拠があっても、意見を曲げない。

 このような個人的信念がどこからくるのかを正確に見極めるのは難しい。その人の生い立ちや経歴、そして無意識のバイアスの組み合わせが、あなたの提案を受け入れるのを難しくていることがある。このような場合は、いかに合理性や感情に訴えても、相手の考えを変えるのは難しい。

 ●やり方

 こうした批判者とは議論を戦わせるのではなく、同僚の助けを借りよう。組織の別の部門にいる、あなたの意見の擁護者(同僚であれ上司であれ)のほうが、このタイプの批判者を説得するのに適任かもしれない。

 第三者が介入すると批判者は、あなたという人間と、あなたの提案とを切り離して考えなければならず、その提案を客観的な基準に従い評価するようになる。批判者との話し合いが行き詰まっているとき、こうした信頼できる同僚が有利な方向に状況を傾けてくれるかもしれない。

 ●注意点

 外部のサポーターを呼び込むことは、諸刃の剣だ。望む結果を得られるかもしれないが、批判者のあなたに対する反感は強くなるかもしれない。信頼する同僚が介入したせいで、不本意ながら、あなたの味方をせざるをえなくなったと感じている場合はなおさらだ。友好的な関係を維持しつつ、あなたの案を巧みに擁護してくれる同僚を見つけることが極めて重要になる。

 批判者がいる状況は楽ではない。その意見を変えなければならないとなると、いっそう困難である。重要なのは、相手が反対する理由を理解して、最も効果的な戦略を使うことだ。そうすれば、「イエス」という答えを得られる可能性は、いちだんと高まるだろう。


HBR.org原文:How to (Actually) Change Someone's Mind, July 31, 2020.


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