じっくりと説得する

 ●必要な場面

 批判者を認知的会話では説得できないとき、あるいはあなたとの人間関係に不満を抱いている場合、議論によって相手の意見を変えようとしても無駄かもしれない。

 たとえば、あなたがマネジャーとして、自分の監督下で優秀な成績を上げた人物を昇進させたいとする。ところが批判者は、あなたの部下たちは、彼女の部下たちを差し置いて昇進させてもらうことが多いと主張している。客観的に見ればあなたの部下のほうが昇進にふさわしくても、周囲の怒りはおさまらず、あなたの提案に賛成してくれない。

 ●やり方

 いきなり飛び込んでいき、批判者を説得しようとしないこと。時間をかけて相手について学び、穏やかな人間関係を築こう。そこで重要なのは、議論でもプレゼンテーションでもなく(少なくとも最初は)、相手の視点を理解し、なぜ相手が個人的に侮辱されたと感じているのかを理解することだ。

 たとえば、彼女のチームについて、あるいは彼女が最もポテンシャルが高いと思う人物について質問してみよう。時間をかけて、批判者を熱心な擁護者や支持者に変えよう。誰のチームのメンバーであれ、あなたが重視する資質を詳しく説明するのもよい。

 批判者のリーダーシップ・スタイルを評価していることを伝えよう。最終的な決定を下すときまでに、昇進者に重要な資質について批判者とあなたが同じ意見であること、そしてあなたが推薦する候補者がその資質を満たしていることを明らかにしよう。

 ●注意点

 相手がどれほど熱心な擁護者になってくれても、根本的に非論理的な主張には賛成してくれない。つまり人間関係だけを頼りにするのではなく、自分の意見が明確な論理によって裏付けられている状態にする必要がある。

 また、この種の批判者は、あなたが状況を操作して取り込もうとすると、容易に気がつく。重要なのは本気度だ。自分がどんな人間かを相手が理解できるようにして、あなたの見解をもっと十分に理解できるようにしよう。