ステップ1:過去と現在、そして未来の自分を区別する

 人は概して、現在の自分を極端に重視する傾向にある。現時点での自分のアイデンティティにしがみつき、いまの自分の状態について著しく限定的な言葉を使って話す。たとえば、「私は内向的です」「私は人付き合いが苦手です」といった具合だ。

 このようにレッテルを貼ると、変化や成長のための余地がなくなり、ハーバード大学の心理学者、エレン・ランガー博士が指摘する「マインドレスネス」が生じる。

 みずからにレッテルを貼ると、それ以外の自分の姿が目に入らなくなる。ランガーは次のように説明している。

「あることが広く認められた真実として提示されると、それとは異なる考え方をしようとすることさえ不可能になる。(中略)たとえば精神的に落ち込むと、自分はいつも落ち込んでいると思い込みがちだ。可変性に対して、マインドフルに注意を向ければ、この思い込みが間違っていることがわかる」

 事実、人は過去の自分と同じではない。何かをする際にも、昔のやり方をいまも続けているわけではない。以前ならばほしいと思っていたものでも、いまはもうほしくない。

 みずからにレッテルを貼り、いまの自分が何者なのかにこだわるのではなく、自分がどれほど成長して、過去の自分からどれだけ変わったかを認識しよう。

 起業家のコーチであるダン・サリバンが説明するように、「目標との隔たりでなく、進捗度を測る」べきだ。週ごと、月ごと、4半期ごとの進歩を測ることで、短期的な成長に目を向けるように自分を訓練することもできる。

「過去90日間で、どのようなことを成し遂げたか」と自問してみるのもよい。現在と過去の自分を区別できるようになれば、未来の自分はいまの自分とは違うと考えることが可能になる。