ステップ2:自分が望む、未来の自分を想像する

「想像力は知識より重要だ。知識は現在我々が知っていて、理解していることに限られてしまうが、想像力は全世界および将来知るべきもの、理解すべきものすべてを内包するのだから」
――アルベルト・アインシュタイン

 異なる未来を想像するより、未来はいまと変わらないと決めてしまうほうがずっと楽である。しかし、自分がどのような人になりたいかを思い描くことに時間をかけなければ、日々の生活に流された末にたどり着く自分にしかなれない。

 未来の自分を形成するには「限界的練習(deliberate practice)」が必要であること、つまり特定の目標に向かって自己開発する能力が問われることが研究で示されている。成長に向かう方向性なくして、効果的に成長することはできない。そのプロセスを定めるには、明確な目標が必要となる。

 たとえば、私がプロの作家になろうと決めた時、そう決心しただけでは不十分だった。自分の思いを目に見える結果、すなわち「ニューヨークの5大出版社のうちの1社と、数十万ドルの出版契約を結ぶこと」に変換する必要があった。

 そうすることで、目標を達成するためのプロセスをリバースエンジニアリングすることができた。明確な目標を持ったおかげで、適切な人たちに実用的な質問ができるようになったのだ。

 さらに、明確で望ましい未来像と自分は成功できるという信念、そこに到達するまでの道筋が組み合わさると、モチベーション希望の両方が沸き上がってくることが研究でわかっている。

 ポジティブ心理学という新たな分野は、数多くの古い仮説を覆した。人はみずからの過去に押されて進むだけではなく、実際には自分の未来像に牽引されることを見出している。心理学者はこの概念を「プロスペクション(Prospection)」と呼ぶ。

 簡単に説明すると、人のいまの行動はおおむね、その人自身の未来に対する見解によって規定される。もし自分の未来が明確で、刺激的で、みずから創造できると思えるものなら、いまの行動はそれを反映しているはずだ。

 では、未来の自分とはどのような人物だろうか。その質問に答えられるのは自分だけである。ギルバート博士が説明しているように、最初の一歩は未来の自分を想像することだ。未来の自分は発見するものではなく、自分でこうなりたいと決意するものである。

 想像のプロセスを始める方法の一つに、日記を書くことがある。「未来の自分に向かって進むために、今日できる1~3つのことは何か」と自問するところから始めるとよい。

 どんな行動を取るにせよ、みずからのコンフォートゾーンの外に出ることになるだろう。いまのあなたのコンフォートゾーンは、いまのあなたのパーソナリティによって決められたものだからである。しかし、最初の不安を乗り越えれば、「心理的柔軟性(psychological flexibility)」が増し、時間の経過とともに、なりたい自分に成長できるようになる。