
営業チームは目標達成のプレッシャーが大きい時ほど、現実の状況から目を逸らし、希望的観測に流されがちになる。だが、取引の可能性を客観的に評価できなければ、単に目標が達成できないだけではなく、そこから負の連鎖が生じて、組織全体を危機にさらすことになる。大手企業100社以上とのコンサルティング経験を持つ筆者らは、営業リーダーが事実に基づいた確実な予測を立てるには、3つの戦略が欠かせないという。先の読めない時代に、いかにそれを実行すべきか提示する。
現在のコロナ禍のように、目標達成のプレッシャーが大きい時、営業チームは希望的観測に流されやすくなる。
その結果、パイプラインの見積もりの信頼性は著しく低下する。期待された目標を達成できないと、従業員の士気は下がり、市場の評判は落ち、財務業績全般が低下するという、破滅的な負の連鎖が組織に生じてしまう。
筆者らは、大手企業100社以上の営業リーダーとの10年以上にわたるコンサルティング経験から、先行き不透明な時期に、より正確な予測を立てるためにリーダーがとれる3つの戦略を特定した。
1. 分析の精度を上げる
営業担当者は、おおまかな表現をすることが多い。「業界全体が壊滅状態です」「誰も、何も売れません」といった具合だ。そこで、より精緻な分析を求め、チャンスを発見させよう。
営業担当者および営業マネジャーには、自社の業界ではなく、顧客の業界を分析した出版物や研究に目を向けさせるとよい。
たとえば、我々のクライアントであるソフトウェア会社では、営業チームが製造業の業界刊行物を読み、医療の最新情報にも精通するようにした。製造業と医療という一見かけ離れた2つの業界は、同社の顧客ベースの大きな部分を占めているからだ。
顧客のビジネス環境を営業チームに評価させることには、2重の利点がある。まず、営業チームのビジネス感覚を磨き、営業担当者として成長させる。また、予測の正確性も高まる。顧客の経済状況をよりよく理解できれば、どの取引が成立しそうでどれが難しそうかがわかるからだ。