3. 顧客の緊急性を率直に評価する

 顧客がどのくらい切実に自社のプロダクトやサービスを必要としているか、あるいは求めているかという率直な質問を営業チームに投げかけること。これはどのような状況でも、常にベストプラクティスと言える。

 そしていまこそ、そのベストプラクティスを実践し、営業担当者が目の前の現実に正面から向き合わざるをえないようなプロセスや質問をすべき時だ。営業チームには取引をまとめる前に、必ず以下の事項を検討することを義務づけよう。

・顧客にとって、この取引の投資利益率(ROI)はどのくらいか。
・顧客にとって、他に切り替えることはどのくらい容易か。
・顧客にとって、この取引の潜在的なマイナス面は何か。
・これをいま実行することには、6カ月待つのと比べて、どのような意味があるか。
・顧客は取引を実行するために、どのようなリソースを要するのか。
・代わりに顧客が追求しそうな他の優先事項は何か。
・顧客は自社と取引した結果、どのように変化するか。

 最後の質問は、しばしば流れを変えるきっかけとなる。この問いで、営業担当者の目が覚めるからだ。自分がどれだけ取引をまとめたいかではなく、顧客の視点から取引を見るようになって、非現実的な期待を抑えられる。

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 自社と取引することで、顧客のビジネスあるいは生活がいかに向上するかを明確に語れないとすれば、事業全体が危険にさらされている。取引が顧客にとって緊急性の高いものでないならば、対処できる現時点で真実を知ったほうがいい。後になって、組織全体が頼りにしている時に予測が破綻するよりも、ずっとよい。

 よい営業チームとは元来、楽観的なものだ。あなたも、そうあり続けてほしいと思っているだろう。一方であなたはリーダーとして、事実に基づいた確実な予測を立てなければならない。本稿で挙げた3つの戦略があれば、それは実現可能である。


HBR.org原文:3 Ways to Improve Sales Forecasts When the Future is Unclear, September 11, 2020.


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