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米国ではGAFAに対する批判がますます高まっており、規制強化や解体を求める声も聞こえてくる。ただ、反トラスト法を根拠に独占を防止することが主な争点になっているが、その闘いをいくら押し進めたところで、重大な問題は解決されないと筆者は主張する。いま求められるのはインターネットアクセスの格差を解消することであり、政府はGAFAと「取引」すべきだという。


 このところ、巨大テクノロジー企業を厳しい規制下に置くべきだという声は強まるばかりだ。たとえば、フェイスブックやアマゾン・ドットコムを解体すべきだという論者がいたり、ソーシャルネットワークや検索エンジンを公共サービスとして規制対象にすべきだという論者がいたりする。

 この夏には、主要テクノロジー企業のトップたちが議会で証言を求められた。報道によると、下院司法委員会反トラスト小委員会は、15カ月にわたる調査の締めくくりとして、巨大テクノロジー企業の分割を求める本格的な報告書を準備しているとのことだ[編注1]

 秋になると、上院商業科学運輸委員会は、有力ソーシャルメディア企業のトップを公聴会に召喚して、ユーザーの投稿内容について、これらの企業に大幅な法的免責を認めている法律に関して証言を求める計画を明らかにした[編注2]上院司法委員会反トラスト・競争政策・消費者権利小委員会は、反トラスト法の執行に関する公聴会開催に向けて動き出した。

 最も注目すべきなのは、司法省が各州の司法長官に対して、反トラスト法違反の疑いでグーグルを提訴する計画について説明を始めたと報じられていることだ。提訴が実現すれば、1998年のマイクロソフト提訴以降で最も重要な反トラスト法訴訟になる[編注3]

 いま法律上・規制政策上・政治上、巨大テクノロジー企業の規制強化に向けた機運が高まっていることは明らかだ。ほどなく、その動きは止められなくなるだろう。問題は、米国が直面するテクノロジー関連の最大の問題に対処するうえで、反トラスト法で巨大テクノロジー企業を追及することが最善の方法なのか、という点だ。