常に学習とアジリティが求められる複雑で不確実な世界において、素質と適応力のあるリーダーは、自分の限界を認識し、自分自身や他者の可能性を成長させるために必要な謙虚さを持ち、他者と誠実でオープンな関係を築くための勇気と好奇心を持っている。彼らは、建設的な批判や反対意見を促進する心理的安全性を備えた、インクルーシブ(包摂的)なチーム環境を構築する。

 何よりも、彼らは真実を受け入れる。正しくあることよりも現実を理解することに関心があり、自分の間違いを認めることを恐れない。そのため批判を歓迎することができる。

 それは、彼らが人よりもそれを好んでいるからではなく、進歩のためにそれが必要であることを知っているからだ。こうしたタイプのリーダーは、疑問を抱くことはめったにないが間違っていることの多い、マッチョなスタイルのリーダーとは大きく異なる。

 脆弱なスタイルゆえに卓越しているリーダーもいる。その一人がオプラ・ウィンフリーだ。彼女は、脆弱性と自分らしさを軸に据えた多才な起業家というキャリアで黒人女性として初めて億万長者になり、人生の「裏も表も」生きている。

 もう一人はマイクロソフトのサティア・ナデラCEOだ。彼自身の原動力のコアである謙虚さ、好奇心、絶え間ない学習に基づいて企業文化を変革し、同社を復活させた。

 3人目はハワード・シュルツだ。2007年に低迷していたスターバックスのCEOに復帰したシュルツは、従業員に心を開き、自分の課題や脆弱性を包み隠さず示し、それが同社復活の原動力となった。

 この3人のようなリーダーはたたえられているが、脆弱なリーダーはマッチョで英雄的なリーダーと同じように広く世間の注目を浴びたり、称賛を受けたりすることはない。

 脆弱なスタイルを持つリーダーシップを育成するために、何ができるのか。以下、いくつかの提案をしたい。