Illustration by Peter Gehrman

リーダーは自信に満ちているべきだという考え方の誤りは、新型コロナウイルスのパンデミックで浮き彫りとなった。トランプ大統領のようなマッチョなリーダーたちが、間違った判断で人々を危険にさらしたことを思い出してほしい。リーダーにいま求められているのは、虚勢を張ることではなく、自分の弱さを認める勇気を持ち、組織やチームの力を引き出すことである


 リーダーはタフで自信に満ちているべきだという考えほど、広く浸透している神話はない。少なくとも現在の新型コロナウイルスのパンデミック前は、そうだった。

 しかし、パンデミックによって強引で支配的なリーダーの多くの弱点が露呈し、みずからの弱さを見せる勇気を持ったリーダーの優位性が浮き彫りになった。

 ドナルド・トランプ米大統領ボリス・ジョンソン英首相、そしてブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領がいかにして新型コロナウイルスを否定し、大胆不敵な虚勢を張り、マスク着用やソーシャルディスタンスの呼びかけを妨げ、他人を危険にさらしたかを考えてほしい。

 そしてそれと、多くの命を救い、自国の経済的損害を軽減したドイツのアンゲラ・メルケル首相、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相、フィンランドのサンナ・マリン首相の率直でデータに基づいたアプローチとを比べてほしい。

 どんなタイプの組織でも人々によい結果をもたらすのは、リーダーが懸命で誠実で、大胆で不評を買いそうな行動を取る場合に思いやりがある時だ。そしてリーダーが、自分がどう見えるかや、実際には人々を傷つける誤った無敵さを生むことではなく、組織を進歩させることを重要視している時だ。