●話のテーマに関する専門知識を示す
調査ではまた、インクルーシブ・リーダーは平均的なシニアリーダーに比べ、話のテーマに関連する専門知識を示す言葉の使用頻度が21%高かった。しばしば研究事例を引用し、異なる視点への理解力を示し、多様な聞き手に向けて複雑な話題を伝える能力を発揮することで、みずからを専門家として確立している。
そのテーマについて綿密に調べて多面的に理解していることを印象付ける言葉、そして論点に複数の人々の視点から共感的に向き合う意欲と能力を示す言葉を、意図的に織り込みながら話すのだ。
なぜこれが重要なのか。研究によって、対人関係における3つの決定的に重要な要素が特定されている。相手を理解すること、相手の視点を受け入れること、相手のウェルビーイングに配慮することである。
リーダーは他者の視点を――自分の主旨と一致するもの、相反するものを含め――入念に検討することで、理解と受け入れの両方を行うことになる(そして前述したように、真摯にフィードバックを求めることが配慮につながると筆者らは考えている)。
複数の視点(賛成意見でなくても)に敬意を持って向き合うというリーダーシップ能力は、信頼を醸成する。なぜならそれは、ビジネス上の意思決定において複数の視点を尊重し検討することを意味するからだ。
それに対して従業員は、自分たちの経験と視点には関心が持たれ尊重されていると感じる。そして仲間や同僚の経験と視点に対しても、同様に敬意を持ち尊重する傾向が高まるのだ。
以下は、インクルーシブ・リーダーとして秀でるために役立つ行動の一部だ。