ステップ2:
すべての意思決定者の方針を揃える
意思決定は多くの場合、共有されたコンテクストの中で行われる。評価基準について、会社の方針が明確なだけでは十分ではない。評価を行う全員が同じ基準を採用することに加え、同一の基準の定義を理解し、共有することが重要だ。
マネジャーを集めて、重要な基準について意見を一致させ、それらを正確かつ一貫した方法で測る方法を明確にすることだ。たとえば、議事録を送付したり、従業員の状況を確認したりことでチームのインフラを支える役割は、これまで見過ごされてきた。だが、新しいコンテクストの中では、これらの重要な行動やスキルに、特に注意を払う。
あるマネジャーはそれらの重要性を認識しているかもしれないが、別のマネジャーはそうではないかもしれない。意思決定に先立ち、マネジャーの評価基準を一致させることで、個人のバイアスに基づいた行動を減らす。
ステップ3:
一貫性と公平性の維持に他者を関与させる
この最終ステップを、筆者らは「モニタリング」と呼ぶ。パフォーマンスについて話し合う時に、互いをモニターするようマネジャーに促すのだ。
別のマネジャーが基準を誤って使用していたり、評価が曖昧だったりしたら、それについて尋ねなくてはならない。「どのような基準で評価をしたのですか」あるいは「なぜ、インフラ構築の行動を評価に含めなかったのですか」と聞く。
ブラック・ライブズ・マター運動に参加するために急な会議を欠席したことを理由に、従業員の評価を下げたマネジャーがいたら、「抗議や同様の活動に関与した従業員の評価を下げないことで同意しましたよね。それ以外の全体的なパフォーマンスをどう評価しますか」と尋ねる。
バイアスは無意識であることが多いため、個人が自分自身をモニターするよりも、チームで一緒に行ったほうがバイアスを見つけやすい。
マネジャーはすでに燃え尽きていて、これ以上仕事を増やすのは公平ではないと主張する人もいるかもしれない。しかし、筆者らと協力したマネジャーの中で、評価基準を明確化して簡素化することに極めて懐疑的だった人々も、最終的にはこの方法が恩恵をもたらすと見方を変えた。
「おそらく、業績評価と同じくらいの時間がかかった」ので、時間の節約にはならなかったとの声も聞かれた。「しかし、新しいプロセスのおかげで、一人ひとりにランクをつける目標を達成することができた」と、マネジャーたちは話した。このプロセスの真の恩恵は、一貫性と公平性だった。「同一条件で比較した。過去の評価よりも自信を持っている」
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大きな決断をしなければならない時だ。評価基準だけでは、2020年から続くこの状況が労働者や職場が与えた影響を、元に戻すことはできないかもしれない。
だが、マネジャーが従業員のウェルビーイングを重視し、自分も他者も公正で公平な基準を遵守するニューノーマル(新常態)を構築する役に立つ。マネジャーにこうした戦略を提供することで、激動の時代にあって、組織の目標を前進させ、実際に成果を上げることができる。
HBR.org原文:How Do You Evaluate Performance During a Pandemic? December 07, 2020.