ベン&ジェリーズは、高価格帯のアイスクリームを購入する進歩的な顧客層に支えられています。そのことで、社会問題に関して鮮明な立場を取りやすくなっていると思いますか。

ミラー:私たちのアイスクリームが最も売れている販路は、(スーパーマーケットチェーン大手の)ウォルマートです。私たちの顧客がハーゲンダッツほどリベラルだとは言えないと思います。

 私たちのソーシャルメディア・アカウントをフォローしている人の中には、我々の価値観に共感してフォローしている人もいるかもしれません。それは素晴らしいことだと思っています。

 昔、(ベン&ジェリーズ共同創業者の)ベン(・コーエン)が気づいたように、顧客との間に築ける最も強力な絆は、共通の価値観による絆です。そうした絆がなければ、その関係はただの商取引にすぎません。

 私たちは、素晴らしいアイスクリームをつくっています。でも、我々のブランドに対する顧客のロイヤルティと愛着を生み出しているのは、私たちが信奉している価値観なのです。

 当然、私たちの主張に賛同できない人も大勢います。2020年夏の声明を発表した時は、とても大勢の人から批判の電話やメールがありました。警察に敵対しているとか、略奪や暴動を推進しているといった批判です。

 それでも、私たちはそうした批判を浴びる覚悟を持って行動しています。それにある意味では、批判されるのは意義ある行動を取っている証拠でもあると思います。

 ジョージ・フロイドの事件以降、中道を歩もうとした企業やブランド、つまり、何らかのメッセージを発信しなくてはならないと感じつつも、誰の気分も害したくないと考えて行動した企業やブランドは、批判と反発を買っているよう見えます。私たちは、そうした企業とは違います。

 ベン&ジェリーズの社会運動チームの規模を教えてください。

ミラー:米国では、私とジャバリ・ポールの2人がマーケティングチームの3、4人と協力して活動を行っています。世界全体で見れば、もっと大勢が関わっています。たいてい、週3回ほどのミーティングを行っていますが、大きな出来事があると、その頻度はもっと高まります。

 2021年1月7日に発したツイッターの連続ツイートの内容を決めるためには、全部で18時間くらいかかっています。そんなに多くの時間を費やすのは正気でないと思うかもしれません。でも、私たちは適切なメッセージを発信したかったのです。そして、自社のメッセージを記録に残したいと考えていました。

 私たちは電話でワークショップを行い、メッセージを細部まで詰めて、上司に見せ、さらにはマシューにも示しました。ほとんどの場合、上層部に提案した内容の80~90%以上が最終的に会社のメッセージとして発信されます。

 親会社のユニリーバは、どれくらい関わっているのですか。

マッカーシー:あまり深く関わっていません。上層部は、(オランダの)ロッテルダムの本社にいる人も、英国にいる人も、米国の拠点があるニュージャージー州にいる人も、私たちの活動を強く支持しています。

 時には意見が食い違うこともありますが、買収から20年の間に、大きな成功を収めることができました。その一因は、ユニリーバが(ベン&ジェリーズの)共同創業者であるジェリー(・グリーンフィールド)とベン(・コーエン)の2人からよく学んだという点にあります。2人がどのようなブランドを築き、いま私たちが目指しているかをしっかり学んだのです。

 加えて、ユニリーバ上層部は非常に聡明で、的確な判断力を持っており、(ベン&ジェリーズに)ある程度の自律性を引き続き持たせることを買収合意の中に盛り込みました。恒久的に自律性を保てるようにしたのです。

 その一環として、独立した取締役会も設けられました。私もその一員で、この取締役会に対して責任を負ってもいます。このように、買収後もある程度の独立性が確保されているのです。

 もっとも、こうした活動がうまくいっているのは、全員がブランドのレガシーを尊重しているからです。これまで何十年にもわたり私たちが戦ってきたものの一部は、いまかつてなく重要性を増しています。そこで、努力をさらに強めるのは必然なのです。

 一方、クリスのチームは、新しい取り組みにも乗り出そうとしています。ユニリーバはそれも支援しています。ユニリーバは、傘下のそれぞれの事業が独自の主張を持つべきだと理解しているのです。