組織文化を変える
変化の激しい時代には不安感が高まるが、的確な質問を投げかけることで人々の不安をある程度和らげることができる。他者と行動をともにすることで不安を軽減できることは、心理学の分野で実証されている。これはグループセラピーの背景にある理論だ。
また、実際にインパクトのある事柄を達成することは、不安に飲み込まれそうな感覚を克服するのに役立つ。したがってあなたの質問は、互いに協力して短期間で結果を出せるような活動に人々の意識を振り向け、危機の最中にも落ち着いて集中できるようになる効果をもたらす。
リーダーとして質問を投げかけることで、あなたは質問の大切さを伝えることにもなる。人々が新たな機会を特定したり、必要な時に助けを求めたりすることを促すことになるのだ。
このような行動は、組織に学習する文化を根付かせる。これは非常に重要なことだ。なぜならば、将来成功する組織とは、誰もがより素早く学習し、ステークホルダーにもたらす価値をより迅速に高めようとする組織だからである。
あなたは、自分の質問に対する完璧な答えを求めているのではない。望ましいのは、質問に対する答えを探究するうちに、新たな洞察が生み出されることである。そうすれば、人々は質問を聞いて「まずは、一歩踏み出してみよう」と考えるようになる。そのうち、質問を投げかけられるだけで、気持ちが高まるようになる。行動することで、進歩を実感できるからだ。
あなたの質問に対する最初の答えが、たとえば実験や調査の結果として出てきたら、たとえ画期的なものでなかったとしても組織全体で共有しよう。その姿勢が、学習する文化を組織につくり上げる一助となる。そして、あなたの質問から新たな洞察が生み出されるのを目にしたステークホルダーは、あなたの手法に強い信頼を置くだろう
***
力強い質問を投げかけるリーダーは、新たな機会をつかむうえでも、想定外の難題に対処するうえでも大きな成功を収める。そして、将来にわたりその恩恵を享受できる文化を築くことができる。
HBR.org原文:Good Leadership Is About Asking Good Questions, January 08, 2021.