●変わらないことについてのコミュニケーションも取る

 リーダーは、物事が変化する時にコミュニケーションを取ることが、いかに重要であるかを心得ている。しかし、物事が常に変化し続けている現在、リーダーは変わらないことについてもコミュニケーションを取る必要がある。

 信頼が予測可能性に大きく左右されることを考えると、従業員が自分は何を期待してよいかを理解できるように、リーダーが後押しすることが極めて重要であると認識しなくてはならない。そうすることで、不確実性が低下し、必要な安定感を築くことができる。

 ●信頼に関する万能薬はないことを前提とする

 信頼の構築と維持、そして回復は、その人のタイプによって異なる働き方をする。大まかに分類すると、人は「自動的に信頼するタイプ」と「エビデンスに基づいて信頼するタイプ」の2種類に分けられる。

・自動的に信頼するタイプは、少なくとも一定の信頼感を持って新たな人間関係にアプローチすることをデフォルトとし、信頼を損なうような出来事が起きない限り、まずは相手を信用する。よく確かめずに信頼するのではなく、知らない時には好意的に解釈しようとするのが特徴である。信頼を築くための手がかりがほとんどない場合には、そこから受ける影響は最小限で済む。信頼を損なう行為があれば、自己イメージへの挑戦と見なされ、より深刻で長期的な反発が誘発される。

・エビデンスに基づいて信頼するタイプは、相手を信用しないところから新たな人間関係にアプローチすることをデフォルトとし、相手が信用に値することを証明されるまでは、自分をリスクにさらさないようにする。エビデンスを見つける機会がないというリモートワークの性質から、バーチャル環境で信頼を築くことは相当難しくなる。累積されたエビデンスに基づいて、いったん信頼が構築されると、エビデンスを無効にしたり取り消したりできるのは、信頼を大きく裏切るような行為に限られる。

 第一歩として重要なのは、他者も自分と同じ方法で信頼を築くと決めつけないことである。その点を考慮に入れて、信頼に対する自分と相手のアプローチの仕方をどちらも知るために必要な下調べをする必要があり、それに基づいて適応するように努力しなくてはならない。

 もし自分が自動的に信頼するタイプで、相手はエビデンスに基づいて信頼するタイプであれば、時間をかけて信頼を築く心構えで臨み、自分は予測可能であり、信頼に値するというエビデンスを、継続的に繰り返し提供する必要がある。

 反対に、あなたがエビデンスを基に信頼するタイプで、相手はあなたのことを最初から信用している場合は、自分自身の行動に常に目を配り、相手から見た時に、自分の行動が信頼を裏切るシグナルにならないようにすることが不可欠である。

***

 現在、幅広く行われているリモートワークは、しばらく続きそうだ。企業のリーダーが、社内の士気を維持することを望み、退職者数の増加といったネガティブな結果を回避したいと思っているならば、従業員の間に信頼を構築する、あるいは構築し直すための対策を講じなければならない。


HBR.org原文:WFH Is Corroding Our Trust in Each Other, February 10, 2021.