モニタリングは答えではない
信頼の低下に対処するために、ますます一般的になっているアプローチとして、モニタリングを増強するやり方がある。テクノロジーを利用する(たとえばキーストローク情報を収集する)のであれ、プロセスを設ける(たとえば毎日の進捗度を聞く)のであれ、モニタリングはたいていの場合、逆効果だ。
第1に、モニタリングが機能することは絶対にない。リモートワークをしている従業員が何をしているか、すべて把握できると思っているマネジャーは誰であれ、自分自身を騙している。どのようなモニタリングのプロセスにも、必ず穴があるからだ。
第2に、モニタリングをされると、従業員は目的を達成するためではなく、よい評価を得るために働くようになる。どうすれば評価されやすいか、その方法を見抜くのにたいした手間はかからず、ただ仕事をすることよりも評価を稼ぐことにより多くの労力を注ぐことになる。
第3に、モニタリングは単に効果がないばかりか、実のところ問題を悪化させる。ある調査によると、かなりの不安を感じていると回答した人の割合が、厳格なモニタリングをされている従業員の間では49%だったのに対し、緩やかなモニタリングをされている従業員の間ではわずか7%だった。また、モニタリングはバーンアウト(燃え尽き症候群)や従業員の不満を助長し、社内の士気を低下させる。
モニタリングによって従業員を監視下に置くことは、従業員を信用していないというこのうえなく強力なシグナルを送ることになる。